マサ公の将棋実戦次の一手

初心者に将棋の考え方を分かりやすくかみ砕いて解説

ウマ娘「天皇賞馬ライスシャワー」物語|宝塚記念で散った稀代の名ステイヤーの異名は刺客

も! マサ公です😊

今日はライスシャワーの思い出を書きたいと思います。

この馬の別名は「刺客」でした。

ミホノブルボンや、メジロマックイーンの偉業達成を阻止した実績から、あまりありがたくない異名をつけられてしまったようです。

この馬は競馬でいうところのマラソンレースに当たる、3000m以上のレースに出て負けたことが有りません。

父親はリアルシャダイという種牡馬で、筋金入りの長距離血統でした。

このことからライスシャワー稀代の名ステイヤーとして、歴史にその名が刻まれることとなったのです。

そんなライスシャワーの、私にとっての思い出をつらつらと書いてみます。

お付き合いいただければ幸いです。

 

 

 

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出会いは1993年の天皇賞春から

 

実は私はライスシャワーのデビューから3歳にかけての活躍を、実際の中継映像などで観ていません。

又聞きになりますが、新馬戦に買ったもののクラシック前はさしたる実績がなく、そして迎えたダービー。

単勝16番人気を跳ね返し、ミホノブルボンの2着に入り一躍脚光を浴びました。

秋には2番人気で菊花賞を迎え、三冠のかかるミホノブルボンを差し切って優勝してしまったのです。

この時から栄光を目指すスターホースの、道を邪魔するイメージがつきまとい始めました。

 

そして迎えた1993年、4歳春の天皇賞

この時はメジロマックイーンの同一レース3連覇がかかっていました。

私はそれまでニュースでオグリキャップなどの活躍に触れ、競馬に関心はあったのですが、馬券を買ったのはこの時が初めてでした。

そしてこのレースが、ライスシャワーとの初めての出合いとなりました。

私は競馬のケの字も分からず、友達に勧められるまま印どおりに、ライスシャワーからの馬連を買ってみました。

結果はまたもメジロマックイーンの栄光を阻止して、ライスシャワーが優勝してしまいました。

このときのテレビ放送の実況で、アナウンサーが初めて「刺客」という表現を使い、「 刺客ライスシャワー」というイメージが定着していったのです。

ちなみに私の馬券の結果は、生まれて初めて買った馬連が的中し、100円が340円ほどになったかと記憶しています。

儲けは40円ほどでしたが、私はビギナーズラックを体験することができました。

当たったことがとても嬉しくライスシャワーと言う馬をたまらなく好きになりました。

しかしこのレースを境に、ライスシャワーは長いスランプのトンネルに迷い込んでしまうのです。

 

 

 

スランプ

 

トンネルの始まりがその年の秋、初戦のオールカマーでした。

1番人気に支持されたこのレースでは、韋駄天ツインターボが大逃げをかましライスシャワーは追走が間に合わず3着に沈んでしまいます。

私はこのレースを、自信が持てず傍観していました。

そして単純に「ツインターボってこんなに強い馬だったんだ」と思い込み、いつしかライスシャワーのことを忘れてしまっていたのです。

そして本番の天皇賞秋で、ツインターボ流しで大勝負してしまい、競馬の怖さを知るのでした。

ライスシャワーはこのレースでも6着に沈み、スランプは続きます。

私は大負けに縮み上がってしまい、この後のジャパンカップ有馬記念の彼の凡走の被害を受けずに済みました。

 

ライスシャワーは迎えた1994年、春の天皇賞を目指して京都記念日経賞と僅差の競馬をしましたが、その後故障が判明してしまいます。

このとき真剣に彼の引退種牡馬入りが検討されましたが、実績不足ということで現役続行が決定されたのです。

思えばこのとき種牡馬入りが決定していれば、例え実績の乏しさゆえに種牡馬としての人気がなくとも、彼はそれなりに幸せな一生を送っていたことでしょう。

 

私の方はツインターボのトラウマが延々と続き、ナリタブライアンが華々しく活躍する、その年の春のクラシック戦線をただ眺めていました 。

その秋にトラウマがようやく癒え、馬券を買い始めたところ、なぜかこの年は絶好調だったのです。

その当時の私の馬券スタンスは、ほどほどの人気で来そうな馬が、低評価を受けているレースを発掘し買うというものでした。

ある日曜日、その日は競馬をやらないつもりで家に届いたスポーツ新聞を眺めていたところ、これはこの馬が来そうだと直感したレースがありました。

いまから競馬場に行っても締め切りに間に合うか、という時間であったにもかかわらず、私は競馬場に駆けつけました。

そして買った馬券が的中するといった具合だったのです。

 

 

 

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復調の兆し

 

故障後のライスシャワーは想定以上に回復が早く、私の好調と重なる時期に復帰してきました。

そして復帰初戦の有馬記念

好調に酔いしれていた私は彼のことを無視していました。

その日の平場のレースで、例の狙い方で的中しプラス収支となったので、有馬記念は遊ぼうと決めていたのです。

結果はナリタブライアンが優勝し、女傑ヒシアマゾンが2着でした。

私はナリタブライアン単勝を買っていたので、他の馬の順位には関心がありませんでしたが、ライスシャワーは密かにこのレースで3着に入っていたのです。

 

   

復活!!天皇賞

 

そして迎えた1995年の天皇賞春。

このころには私の好調の波はどこえやらと消えてしまい、再び競馬の難しさが身にしみている時期でした。

ライスシャワーはこのレースで見事に二年ぶりの復活をとげます。

冒頭にも書きましたが、彼はこのレースを含めて3000m以上のレースを全勝しており、あらためて血統の裏付けどおりのステイヤーであることが証明されたのでした。

私はこの復活劇を予想だにせず、いっしょにお祝いする気持ちになれなかったのは残念ですが、「ライスシャワーは個性的な馬だったなあ」と今も懐かしく心に蘇ってきます。

今思えばこのタイミングこそ、絶好の引退の時期だったと悔やまれてなりません。

 

 

 

宝塚記念、そして「帰らぬ人」に

 

ライスシャワーの陣営は次の宝塚記念の際、事前のファン投票で1位に推されたことなどを理由に出走を決定します。

そして彼は「帰らぬ人」となったのです。

それはあまりにも悲しすぎる結末でした。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

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まとめ

 

ライスシャワーはクラシックまでの活躍は地味でしたが、ダービー2着で一躍脚光を浴びます。

そしてミホノブルボンメジロマックイーンという錚々たる名馬の栄光を阻止し、「刺客」というありがたくない異名を冠せられてしまいます。

「スランプの時期に引退を決断していれば」と惜しまれる過去はありますが、現役続行を実らせて再びの栄光を拝したのは、さすがに名馬と言わざるをえません。

この絶好の引退のチャンスを見送り、彼が悲運にみまわれたことは、きっと私たちの心に強烈な印象を残して、永遠に生き続ける定めの馬だったからなのだと思いたいです。

実際私の胸の中には、そのあと数々の名馬が去来しましたが、一番鮮明に焼き付いているのはやはりライスシャワーです。

 

彼の魂よ!永遠なれ

 

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「みんなの将棋教室入門編」あえてデメリットを挙げるとすれば?

さん、こんにちは。将棋大好きマサ公です😊

 今回ご紹介する商品は

みんなの将棋教室入門編

というソフトです。

 

まずお伝えしたいのは、このソフトは

 

  • 将棋に興味があって教材をお探しの方
  • オンライン教室を考えてみたけど、「ハードルがちょっと高いな」と感じられている方
  • パソコンで将棋を学習したい方
 

には、ひとりで手軽に将棋が学習できるお手頃なソフトであるということです。

 

お子様でも小学校3年程度以上であれば、説明文に出てくる漢字も問題なく読めるでしょう。

もっと言えばそれより小さなお子様でも、親子のコミュニケーションツールとして一緒に将棋を学んでいただければ、このソフトが家族の団らんに一役買うことも期待できます。

 

「みんなの将棋教室入門編」がどれくらい将棋学習に適しているのか?

メリット・デメリットは?

 

ご紹介申し上げましょう。

 

 

「みんなの将棋教室入門編」の動作環境

 

  • 商品名:みんなの将棋教室入門編 (株)アンバランス
  • OS:日本語Windows®7/8/8.1/10(32/64bit)
  • CPU:デュアルコアCPU 2GHz以上
  • メモリ:1GB以上
  • HDD:500MB以上
  • ビデオカード:解像度1024×768、High Color(16bit)以上

★インストール時にCD-ROMドライブが必要となります。

 

以上が動作環境です。

 

普通にOSがWindows10でCD-ROMドライブのある、極端に古くないパソコンであれば問題なく動くと思われます。

 

インストールから開始画面へ 

 

同梱のインストール手順にしたがってインストールすると、以下の開始画面になります。

 

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メニューはたったのこれだけで、非常にシンプルです。

順にご紹介していきます。

 

【解説】

 

解説」を開くと以下のサブメニューが出てきます。

 

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将棋の歴史・駒の動かし方など

 

ここでは

  • 将棋の歴史
  • 駒の動かし方
  • ルール
  • 棋譜の表記
  • 詰将棋
  • etc

について詳しく分かりやすく解説されており、次へ「進む」ボタンでテンポ良く読み進めることができます。

 

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上の画面右下隅の「目次」ボタンをおせば、いつでも自分の読みたいところへ飛ぶこともできます。

 

10枚落ち、8枚落ちの駒落ち定跡の解説がある

 

将棋には上手な人が駒を引いて、例えば歩と王様だけとか(10枚落ち)、歩と王様と金だけとか(8枚落ち)の状態で、全部駒がそろった下手に教えるという指し方があります。

この指し方を「駒落ち」といい、その道しるべとなる定跡を「駒落ち定跡」といいます。

みんなの将棋教室入門編には、10枚落ち、8枚落ちの「駒落ち定跡」の解説があり、基本的な下手の勝ち方について説明しています。

 

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またそれぞれに復習問題がついており、学んだ内容をオサライすることができます。

 

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平手で指してみよう~基礎編・実戦編~

 

平手で指してみよう~基礎編・実戦編~では、駒得の大事さや基本的な将棋の出だし、棒銀戦法の成功例などを解説しています。

ここでも復習問題で学んだことを確認できます。

 

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【練習問題】攻めの手筋・詰め将棋

 

練習問題」では攻めの手筋25問と詰将棋25問、合計50問が出題されています。

 実戦に応用が利きそうなアルアル問題が厳選されています。

 

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【用語集】【格言コレクション】

 

「用語集」・「格言コレクション」では、将棋の解説に用いられる用語や、格言先人の強い方が残された将棋のコツを意味する名言)について詳しく説明しています。

 

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初心者にちょうど良いレベルの【対局】モード

 

またこのソフトには「対局」モードも付いています。

強さはレベル3までの三段階から選べ、駒落ちも選択することができます。

私も対戦してみたのですが、強すぎもせず弱すぎもせず、初心者にはちょうど良いレベルの対局モードだと思います。

強さを自在に選べるので、この対局モードで勝てるようになれば、ライバルのお友達にも勝てるようになりますよ。

 

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まとめ

 

以上「みんなの将棋教室入門編」のコンテンツについてご紹介してきました。

一通りすべての機能を体験してみた感想としては、

 

  • 次へ「進む」ボタンで画面が展開していくという手法が、スラスラと内容が頭に入ってきて、初心者にも分かりやすいだろうなと思えたこと。
  • 初心者が学ぶべき将棋の知識が網羅的であること
  • 駒落ちの必勝定跡の解説がついていて、全くの初心者でも勝利の快感が味わえそうなこと
  • 復習問題がついていて学んだことの確認に役立つこと
  • 練習問題はピンポイントに、実戦によく現れそうな問題がピックアップされていること
  • 対局モードの強さ設定がちょうど良く、指す人の強さに応じて様々な選択肢があること

 

などが挙げられると思います。

 

ご利用者様の使い勝手が一番大事だと思いますので、公平な視点で見たデメリットを探してみたのですが、唯一あるとしたらコスパだと思います。

この内容で¥1500を切る程度の値段、どう見るかですが個人的な感想としては、私がもし将棋知識ゼロのド初心者だとしたら、このコンテンツであれば納得できると感じました。

本などで学習するより、はるかに効率的で頭を疲れさせることもなく、しかも対局モードで実力が試せて強さがちょうど良いソフト。

駒落ちモードで勝利の実感も味わえる。

 

ちなみに私の調べたところ、「将棋教室 ソフト」で検索してヒットした商品はこれだけでした。

 

以上が「みんなの将棋教室入門編」のレビューです。

よろしければご検討ください。

 

なお、このソフトはシリーズになっており、使用する方の強さに応じて

  • みんなの将棋教室入門編:入門編は¥842の格安版がありますが、¥1445の品の方がニューバージョンです。
  • みんなの将棋教室中級編
  • みんなの将棋教室上級編

の3編が用意されています。

上級編のレベルはというと、「初段を目指す」を謳い文句にしています。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

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敵の打ちたいところに打つ「遠見の角」で局面をリード|早石田の実戦に現れた変化

んにちは!マサ公です😊

今日は早石田の実戦に現れた「遠見の名角」の実例をご紹介したいと思います。

「遠見の角」とは自陣などの離れた位置から、敵陣を遠くにらむ角を攻めの起点とするもので、「角筋は受けにくい」とも言われるとおり受けの難しい攻めです。

 

この実例は早石田の実戦の一変化から生まれました。

早石田、別名「升田式石田流」です。

この戦法は出現当初は奇襲戦法に位置付けられ、ハメ手のような扱いを受けてきました。

しかし升田実力制第4代名人によって創意工夫され実戦で大きな戦果をあげました。

現在では特に先手番での振り飛車党の積極策として多用されています。

 

昭和46年度の升田九段対大山名人の名人戦で両者は死闘を繰り広げました。

升田挑戦者がこの戦法を駆使し、第3局では歴史に残る妙手が出た対戦としても有名です。

今日はこの戦法の一端に迫り、序盤の進行と中終盤を見ていきましょう。

 

 

 

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商品のご紹介

 

みんなの将棋教室入門編

 

将棋初心者の方におススメのソフトがあります。

みんなの将棋教室入門編」という将棋学習ソフトです。

  • 将棋に興味があって教材をお探しの方
  • オンライン将棋教室はハードルがちょっと高いなと感じられている方
  • パソコンで将棋を効率的に学習したい方

には、一人で手軽に将棋が学習できる、お手頃なソフトとなっています。

シンプルなメニュー構成と頭に負担がかからない解説の進行、駒落ち必勝定跡の分かりやすい解説etc。

ちょうど良い強さの対局モードがついていて、学んで間もなくの方でも勝利の快感を味わうことが夢ではありません

小さなお子様のいるご家庭では、親子団らんのコミュニケーションツールとしてご利用ください。

 

詳しくは下記記事をご覧ください。 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

CONTENTS

 

 

第1章-1 中終盤次の一手編 

 

第1問 敵の打ちたいところに打つ

 

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上図を見たときに、まず先手の嫌みから考えてみましょう。

放っておくと嫌な手は、☖16銀と打たれる手で、次に☖27香を狙っています。

見出しにも書きましたとおり、この局面での急所の手は敵の打ちたいところに打てです。

攻めにも効く遠見の〇打ちです。

お考えください。

 

第1問解答

 

☗16角

 

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正解は☗16角です。

この手は☖16銀を防ぎつつ、☗52竜☖同銀☗同角成を狙っています。

実践では後手は☖34銀打と受けましたが、☗45歩が厳しく☖同歩は☗44歩、☖同銀は狙いの☗52竜があり、後手は適当な受けがありません。

このように、敵の打ちたいところに打つ攻防の角打ちは、優位拡大の原動力となりえます。

参考にしてください。

 

 

 

第2章 序盤の駒組みと変化

 

将棋のルールについては下記記事をご覧ください。

 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

 

棋譜の見方については下記記事をご覧ください。

 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

1. 出だしのポイント3手目☗75歩

 

開始局面からの指し手

 

☗76歩☖34歩☗75歩(第1図)

 

第1図

 

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☗76歩☖34歩と角道を開け合う出だしから始まります。

そして3手目の☗75歩がこの戦法の骨子となる手です。

このあと飛車を7筋に振って、☗76飛と構える形を総称して「石田流三間飛車」と呼びます。

 

2. 角交換は怖くない

 

第1図以下の指し手

 

☖84歩☗78飛(第2図)

 

第2図

  

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後手は☖84歩と居飛車の作戦を明示します。

この手で☖62銀とする手には、☗66歩として角交換がないノーマル石田流となり、別の将棋になります。

先手は☗78飛と三間飛車に構えます。

 

このとき後手が☖88角成☗同銀☖45角と角の両成を狙ってきたらどうなるでしょうか。

一見受けがなさそうですが、☗75歩と突いている形を活かし、☗76角と打つ手があります。

☗43角成を狙っていますので後手は☖42王と受けますが、そこで☗38銀と上がって両方の角成りを受けることができます(参考1図動画)

 

参考1図動画

 

 

ゆえに角交換は怖くないのです。

 

3. 奇襲!王手飛車取り

 

第2図以下の指し手

 

☖85歩☗48王(第3図)

 

第3図

  

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後手は☖85歩と飛車先を伸ばしてきます。

先手は悠然と☗48王と囲います。

 

しかし後手に☖86歩とされても大丈夫なのでしょうか。

結論から言うと、これは先手が仕掛けた罠です。

もし☖86歩☗同歩☖同飛とくれば、そこで☗74歩と突く手があります。

この手は☖同歩と取るしかなく、そこで☗22角成☖同銀☗95角として、目から火が出る王手飛車取りが決まります参考2図動画)

 

 参考2図動画

 

 

4. 囲いが完成、ここで☖86歩は?

 

第3図以下の指し手

 

☖62銀☗38王☖42王☗28王☖32王☗38銀(第4図)

 

第4図

  

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後手は用心して、☖62銀と銀を繰り出して攻撃に備えます。

先手は☗38王。

ここで☖86歩☗同歩☖同飛は、☗22角成☖同銀☗77角として飛車銀両取りをかけることができます(参考3図)。

 

参考3図

 

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以下王の囲い合いになり、先手は☗38銀と美濃囲いを完成して第4図の局面を迎えます。

 

ここでも☖86歩が気になりますが、このタイミングではまた別の対策があります。

☖86歩☗同歩☖同飛に、今度は☗88飛と飛車をブツケます。

飛車交換は打ち込みのスキがある後手が不利なので、☖87歩と交換を拒否しますが先手は☗98飛と寄っておきます。

後手☖52金右に☗78金として次に☗88歩を狙います。

以下一例として参考4図動画のような展開が考えられますが、角を手持ちにしている分、先手が指せる分かれだと思います。

 

参考4図動画

 

 

5. 必然の角交換、以下は駒組

 

第4図以下の指し手

 

☖64歩☗76飛☖88角成☗同銀☖22銀(第5図)

 

第5図

  

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後手は☖64歩と、次に☖63銀の形を目指します。

先手は☗76飛と、いよいよ石田流の構えを取ります。

放っておくと☗66歩とされ、ノーマル石田流になってしまうので、この戦型にした意味を求めるなら後手は☖88角成の一手になります。

☗同銀に☖22銀は、角筋に備える駒組となります。

 

6. 着々と駒組みが進む

 

第5図以下の指し手

 

☗78金☖63銀☗16歩☖14歩☗77桂(第6図)

 

第6図 

 

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先手は☗78金として角打ちのスキに備えます。

後手は☖63銀と飛車先に備えます。

端を突き合ったのち、先手は☗77桂として攻撃に備えます。

 

7. 遊び銀の活用

 

第6図以下の指し手

 

☖33銀☗79銀☖52金左☗68銀(第7図)

 

第7図 

 

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後手は☖33銀と壁銀を解消します。

ここで先手に大事な手があります。

この局面のポイントは、☗88銀が働きにくい駒になっていることに着目することです。

となれば☗79銀と中央に寄せる手が正しい感覚となります。

後手は☖52金左と右に厚い構えをとってきますが、先手は☗79銀の継続で☗68銀とします。

 

8. 後手飛車先を厚く受ける

 

第7図以下の指し手

 

☖94歩☗66歩☖51金寄☗67銀☖84飛(第8図)

 

第8図

 

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後手は☖94歩と様子を見ます。

先手は☗66歩と、場合による☗65歩の開戦を狙います。

駒組が長くなりそうなので、後手は☗51金寄と金を寄せてきます。

先手は☗67銀と自然に構えます。

後手は☖84飛と先手の飛車先に厚く備え、場合による☖74歩の交換を見せます。

 

9. 銀冠を目指しつつ馬作りに備える

 

第8図以下の指して

 

☗56銀☖54銀☗96歩☖42金上☗26歩(第9図)

 

第9図

  

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先手は☗56銀と☗65歩の攻撃を見せます。

後手も☖54銀と6筋に備えます。

先手は☗96歩の様子見。

後手は☖42金上と上部に厚く構えます。

ここで先手は☗46歩と突きたいのですが、これには☖69角と打つ手があります。

☗88金に☖25角成と馬を作られて、先手面白くありません。

そこで馬作りを防ぎつつ、銀冠にする手を含みにして☗26歩とつきます。

 

10. ☖35歩の位取りが急所

 

第9図以下の指し手

 

☖35歩☗46歩☖44歩☗47銀引(第10図)

 

第10図 

 

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ここが後手方の一つのポイントになります。

☖35歩の位取り(歩が五段目に進むこと)は、先手の☗36歩を妨害しつつ、次に☖34銀とするノビノビとした陣形を目指す手です。

この手は先手にとって嫌な手で、凹んだ形になりましたが予定どおり☗46歩とします。

後手は☖44歩と対抗します。

そこで先手は☗47銀引と銀を引いて、さらに王を固めます。

 

11. ついに開戦

 

第10図以下の指して

 

☖43銀☗58銀☖24歩☗56歩☖89角(第11図)

 

第11図 

 

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後手は☖43銀と、さらに固めつつ手待ちします。

先手の☗58銀も同じような意味です。

後手は☖24歩と王様の懐を広げつつ、☖25歩の攻撃を見せます。

ここで☗56歩と突いたのが誘いの好きです。

果たして後手は☖89角と開戦してきました。

金が動くと☖56角成と馬を作られてしまいます。

以下は中終盤次の一手で解説します。

 

 

 

第1章-2 中終盤次の一手

 

第2問 ☗89角の受け方

 

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いよいよ開戦となった☖89角に対して、どう金取りを受けるのかという問題です。

金を逃げる手がないとすれば、金に連絡をつけることになります。

例えば☗67銀は角が憤死する心配は無いので、悠々と☖34銀直とたたれます。

このあと先手は、☗68金として次に☗78銀を見る手はありますが、☖67角成☗同金☖78銀と打たれて困ります(参考5図)。

 

参考5図

 

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☖89角は、受け方によっては先手がリードするチャンスなのです。

ガッチリ受けておいて、ゆっくり☗89角をタダで召し取る手を狙います。

 

第二ヒント

角を打つ手です。

お考えください。

 

第2問解答

 

☗69角

 

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正解は☗69角です。

変な形ですが、この手は次に☗47銀右~☗79金の角のタダ取りを見た厳しい受け方です。

タダ取りを見せられては後手も☗78角成と切るしかなく、以下第2問へと進みます。

 

第3問 斬り合い

 

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上図は飛車が死んでいるので手は限られています。

タダで取られるわけにはいかないので反撃します。

☖84飛が格好の目標になります。

お考えください。

 

第3問解答

 

☗85歩

 

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☗85歩と斬り合いにもっていくしかない局面です。

以下☖76銀成☗84歩☖88飛と進み、そこで☗98角が☖58飛成に☗76角を見て好調な手となります(参考6図動画)。

 

参考6図動画

 

 

☗98角には☖77成銀と取るよりありませんが、そこで☗49金としっかり受けて不満はありません。

 

第4問 スキに打ち込む手筋の〇 

 

f:id:masakouchang:20210304144829p:plain

 

上図は今、先手が☗54角と角を切って後手が☖同歩と応じた局面です。

駒の損得は先手の銀損ですが、この瞬間に王様に絡む手筋の手があります。

もし銀があったら、打ち込む場所が容易に想像できる地点がありますね。

そのスキに〇を打つ手も厳しいのです。

お考えください。

  

第4問 決め手の〇打ち

 

f:id:masakouchang:20210304130324p:plain

 

この問題は難しい詰みの変化を含んでいます。

ですから正解手順を見て、

「こんな風に将棋って勝ちが決まるんだ」

と感じながら動画を観賞してください。

  

第4問解答

 

☗34銀

 

f:id:masakouchang:20210304130524p:plain

 

正解は☗34銀です。

この手に☖25金は、☗42竜☖同歩☗23銀成☖同王☗41角☖32飛☗13歩成☖同歩(☖同桂は☗21飛以下早詰み)☗34金☖12王☗23金打☖11王☗12飛☖同飛☗同金☖同王☗23金☖11王☗12飛までの詰みです(参考8図動画)。

 

参考8図動画

 

 

☖25金と取る手がないとすれば、次に☗23銀成☖同金☗34桂が厳しい狙いになります。

実践は☖11桂と受けましたが、☗23銀成☖同桂☗34桂が実現し、先手の勝ちが決まりました。

 

 

 

まとめ

 

今日は先手早石田対居飛車の実戦の一連の流れを追ってみました。

 

第1章-1 中終盤つに一手編のポイント

敵の打ちたいところに打つ「遠見の角」で、相手の狙いを封じつつ敵陣の急所をにらむ。歩で遮れないので厳しい角となる。
 

第2章 序盤の駒組と変化編のポイント

  • 早石田は3手目☗75歩から始まる
  • 後手の飛車先は、受けなくても悪くならない様々な変化がある
  • 角打ちのスキを作らないように、慎重に駒組を進める
  • 遊び銀の活用
  • 誘いのスキで開戦を誘う

 

第1章-2 中終盤次の一手編のポイント 

  • 開戦の☖89角打ちに、タダ取りを見せる受けの☗69角
  • 飛車の取り合いで勝負する
  • 終盤、際どい銀打ちで一手勝ちを目指す

  

早石田は振り飛車側が先手番のときの積極策として、久保九段などが愛用しています。

角を持ち合うので、お互いに角の打ち込みのスキを作らないように、神経を使う将棋となります。

中盤、振り飛車側から動く手は難しいのですが、手待ちを重ね駒の組み合いという特殊な将棋になりやすいです。

私的には、この戦法のオススメ度は、10点中6点といったところでしょうか。

この記事を参考にしていただいて、皆さんの得意戦法のレパートリーを広げてみてください。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

関連記事リンク 

 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

 

商品のご紹介 2

 

 

藤井聡太 強さの本質」書籍編集部編

 

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この事実は計り知れない彼の強さの一端を物語るものだと思います。

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米長玉VS四間飛車戦の序盤解説と次の一手7選

さん、こんにちは! 将棋大好きマサ公です😊

 

今回は米長玉VS四間飛車の実戦から序盤の駒組のポイントの解説と、中終盤の次の一手を出題していきたいと思います。

米長玉は故米長永世棋聖が考案した有名な指し方で、戦法というよりも居飛車振り飛車戦における左美濃作戦の一変化です。

王の位置がその特徴で、先手ならば☗98王、後手ならば☖12王の形を定位置とします。

今日は振り飛車戦における左美濃定跡、通称「米長玉」を掘り下げてみたいと思います

 

さっそく見ていきましょう。

 

 

 

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詳しくは下記記事をご覧ください。 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

CONTENTS

 

 

   

第1章 序盤の駒組

 

第1章では米長玉VS四間飛車をテーマに、序盤の進行を一手ずつ解説していきたいと思います。

なかでも序盤のポイントの手は、特に詳細に触れていきます。

第1章は初心者の方の参考になると思いますので、重点的に読み進めてみてください。

 

将棋のルールについては下記記事をご覧ください。

 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

 

将棋の初手と棋譜の見方については下記記事をご覧ください。

 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

 

1. 振り飛車の出だしのポイント☖44歩 

 

開始局面からの指し手

 

☗76歩☖34歩☗26歩☖44歩 (第1図)

 

第1図

 

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後手が振り飛車を目指す場合の、出だしのポイントの手が☖44歩で、角交換を避けます。

 

2. 四間飛車

 

第1図以下の指し手

 

☗48銀☖32銀☗56歩☖42飛(第2図)

 

第2図

 

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先手は☗48銀と攻めの銀の活用を目指します。

後手も同じ意味で左の銀を☖32銀と上がります。

☗56歩は銀の出口を作った手です。

そして後手は☖42飛と四間飛車の意思表示をします。

 

3. 玉の囲い合い

 

第2図以下の指し手

 

☗68王☖62王☗78王☖72王(第3図)

 

第3図

 

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飛車の位置が決まったら、次は王の囲い合いです。

居玉は避けよ」という格言があり、王を囲い合うのは序盤の大切なミッションです。

 

4. 先手持久戦の意思表示

 

第3図からの指して

 

☗58金右☖82王☗96歩☖94歩☗57銀(第4図)

 

第4図

 

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先手は☗58金右と右の金を王に寄せます。

後手は☖82王と深い囲いを目指します。

9筋の端の突き合いは、王が端に逃げていったときの懐を広げ合った手です。

そして先手は☗57銀と持久戦の意思表示をします。

先手の手だけ示すと、☗68銀~☗57銀左の形もあり、この作戦は急戦となります。

 

5. 先手も王を深く囲う準備

 

第4図以下の指し手

 

☖43銀☗77角☖52金左☗88銀 (第5図)

 

第5図

 

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後手の☖43銀は上部に備えた手です。

先手も☗77角と王を深く囲う準備です。

☖52金左は、まだ態度を保留して☖72銀と美濃囲いにする手と、☖92香以下穴熊囲いにする手の両方を含みにした手です。

☗88銀の意味は、棋譜の進行のとおり「銀冠(ぎんかんむり)」と呼ばれる堅い囲いを目指したものです。

 

6. 着々と駒組みが進行

 

第5図以下の指し手

 

☖64歩☗86歩☖74歩☗87銀(第6図)

 

第6図

 

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☖64歩は、囲いの進展と将来の☖65歩の攻撃を見せた手です。

先手は☗86歩と銀冠を目指します。

後手の☖74歩は、☖73桂とはねる余地を作り攻撃を目指した手です。

先手は☗87銀と着々と囲いの進展を目指します。

 

 

 

7. 後手は美濃囲いの第一段階を完成

 

第6図以下の指し手

 

☖73桂☗66歩☖72銀(第7図)

 

第7図

 

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後手は☖73桂と桂馬が出動して、次に☖65桂の両取りを狙います。

先手は☗66歩とその手を防ぎつつ、さらなる囲いの進展を目指します。

そして後手は☖72銀とついに美濃囲いの第一段階を完成させます。

 

8. 後手角道を開ける

 

第7図以下の指し手

 

☗88王☖45歩(第8図)

 

第8図

 

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先手は☗88王と王を深く囲います。

これに対して後手は☖45歩と、各道を開けてきたるべき開戦に備えます。

 

参考

以下はやや難しめな内容なので、初心者の方は読み飛ばしていただいて結構です。

この☖45歩は今がタイミングと言えます。

☖63金左☗78金を交換してからの☖45歩だと、☗25歩☖33角☗24歩☖同歩☗65歩☖44銀☗64歩☖同金(参考1図動画)と決戦される恐れがあります。

 

参考1図動画

 

 

先手は☗24と突き捨て、飛車先を軽くしてから☗65歩と決戦します。

角交換は、後に☗24飛を許し飛車先を突破されてしまうので、☖44銀と交換を拒否します。

しかし☗64歩と取り込まれて、☖同金となった形は金の形が良くありません。

☗65歩の決戦ができるのも、☗78金と囲いが完成しているからです。

その点☗69金型で☖45歩と突けば、先手はまだ囲いが弱く決戦がしにくいのです

ゆえにこの瞬間が、☖45歩と角道を開けるタイミングと言えるのです。

 

9. 飛車先は角で備える 

 

第8図以下の指し手

 

☗25歩☖33角(第9図)

 

第9図 

 

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先手は☗25歩と飛車先の歩を進めます。

つぎに☗24歩とされてはいけませんが、ここで☖33角が大事な手です。

振り飛車を指しこなすには、☗25歩にはワンセットで☖33角とするもの、と覚えてください。

それでも☗24歩ときたら、☖同歩と応じておいて飛車先を破られる事はありません。

 

10. 四間飛車棒銀に備える

 

第9図以下の指し手

 

☗78金☖44銀☗36歩(第10図)

 

第10図

 

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先手は☗78金と締まり、次に☗67金右とできれば銀冠の完成です。

後手は☖44銀と、四間飛車棒銀を目指してきます。

ここが一つのポイントです。

次に後手に簡単に☖35銀を許してはいけません。

四間飛車棒銀に限らず、棒銀側に簡単に銀の五段目への進出を許すと、作戦的に損をすることが多いのです。

そこで先手は☗36歩と☖35銀を防ぎつつ、☗37桂の活用を目指します。

 

11. 居飛車の税金

 

第10図以下の指し手

 

☖54歩☗67金右☖84歩☗16歩(第11図)

 

第11図

 

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後手は☖54歩と、場合による☖55歩の開戦を狙います。

先手は予定通り、☗67金右と銀冠を完成させます。

後手は☖84歩と囲いの進展を目指しつつ、場合による☖85歩の攻撃を狙います。

 

これに対して、先手が☗16歩と突いた手は「居飛車の税金」と言われます。

 ☗37桂と跳ねるためには、何かの時に☖15角と出られる手が嫌味なのです。

その手をあらかじめ防ぐ☗16歩ですが、この手が一見余計な手を強いられているように見えるので、「税金」と表現されるのです。

☖14歩と端歩を突き合う手を省略して、他の有効な手を後手に指されると、☗16歩が緩い手となってしまう恐れがあるのです。

 

12. ついに本題の米長玉登場

 

第11図以下の指し手

 

☖63金左☗98王(第12図)

 

第12図

 

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後手は☖63金左と、さらに囲いの進展を目指してきます。

ここでついに本題の米長玉が登場します。

先手が☗98王とした手がそれです。

この端玉が米長玉で、この手は

  • ☖33角の角筋から王の位置を逸らす
  • 王が端にいる分だけ、横からの攻めに対して一路遠い

という意味を持ちます。

ただ王が端に寄る関係上、将来、端から攻められることは覚悟する必要があります

故米長邦夫永世棋聖は、この手がでると必ず勝てる、ゲンのいい一手とおっしゃられていました。

その後、米長玉は一つの定跡となり、一時期プロアマ問わず多用されました。

 

13. 双方の駒組みが完成そして開戦

 

第12図以下の指し手

 

☖83銀☗37桂☖72金☗29飛☖35歩(第13図)

 

第13図

 

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☖83銀と後手も銀冠を目指します。

先手は☗37桂と右の桂馬を活用します。

後手は☖72金と銀冠を完成させます。

先手の☗29飛は、将来☖37歩成とされた手が飛車取りにならないように、未然に当たりを避けつつ手待ちした手です。

そして駒組みがほぼ頂点に達したので、☖35歩と後手から開戦してきます

ここまでで序盤が終わり、ついに中盤戦に突入します。

 

   

第2章 中終盤次の一手

 

第2章では、次の一手形式で中終盤を解説します。

初心者の方には少し難しくなりますので、読み流していただいて何となくイメージを掴んでください。

答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。

腕に自信のある方は、ヒントを見ずに問題を考えてみて、後からヒントを見る順番をお勧めします。

 

第1問 開戦は歩の突き捨てから

 

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序盤編の最終手☖35歩以下、☗同歩☖同銀と進行して上図となります。

開戦は歩の突き捨てから」と言われ、ここは先手も歩を突き捨てるタイミングです。

☗25歩がいたままでは飛車先が重いですね。

突き捨てて軽くしましょう。

 

第1問解答

 

☗24歩

 

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正解は☗24歩です。

☗25歩がいたままでは飛車先が重いので、あらかじめ突き捨ててしまうのが開戦の常道です。

これに対して何で取るかですが、

  • ☖同角は☗65歩と突いた手が、香車取りになるのでやりにくいでしょう。
  • ☖同銀は☖46歩の攻めを狙っていたのに、☖24銀の形は銀が遊んでしまいます。加えて銀が再び動くと、23に飛車に成られてしまう形になっています。具体的には☗26飛と、桂頭攻めに備えられているくらいで、後手が少し不満でしょう。

 したがって☖同歩が自然です。

 

第2問 駒損覚悟のサバキ

 

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上図は前問の☖24同歩以下、☗34歩☖22角と進んだ局面です。

先手は歩切れで一見手が難しそうですが、ここで駒損覚悟の大サバキに打って出る手があります。

☖35銀が動けば、☗24飛と走ることができますね。

それを実現するために、まずは取られそうな〇を捨てます。

歩切れを解消する意味もあります。

お考えください。

 

第2問解答(動画)

 

☗45桂 

 

 

正解は☗45桂です。

歩切れを解消しつつ桂馬を捨てます。

これには☖同飛と取るしかありませんが、そこで☗46銀とブツケルのが、☖35銀の移動を願う手荒なサバキです。

☖同銀☗同歩☖同飛と進むしかありませんが、そこで☗24飛と走っていい勝負です。

この後☖44角が予想され、☗21飛成と桂馬を取り返しながら一歩先に飛車が成りこんで、先手にこれといった不満はありません。

 

第3問 相手の駒の働きを封じる

 

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上図は後手が、33にいた角を☖24角と逃がしつつ、先手陣の急所に利かせてきたところです。

このまま☖24角に威張られると、先手の☗77角がまだ攻めに働いておらず、角の働きの差が出そうです。

そこで後手の角を封じれば良いのではないか、という着想がこの局面での正解です。

封じるためには、☗32竜の利きと持ち歩を活かします。

お考えください。

 

第3問解答

 

☗35歩 

 

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正解は☗35歩です。

これで後手の角の利きを封じることができます。

将棋ではこのように、相手の大駒の利きを封じる手が、有効な手となる場合がよくあります。

一見地味な手ですが、丁寧な手だとも言えます。

雑な手を指すよりも、丁寧な手の積み重ねの方が、良い結果を招くことが多いのです。

 

第4問 拠点を先手で作る

 

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上図は☗95歩の銀取りに対して、後手が☖69銀と強気に攻め合ってきた局面です。

とっさに金を逃げる一手と判断してしまいそうですが、ここは先手が後手陣に拠点を残すチャンスです。

攻めるとしたら、☖69銀のスピードに勝てる手は王手しかないですね。

☗94歩の取り込みを先手にします。

お考え下さい。

 

第4問解答

 

☗93銀

 

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正解は☗93銀です。

この王手に対して王が逃げるのでは、☗93銀が拠点として残ります。

☖同玉の一手ですが☗94歩と取り込んで、歩を取る手はあまりにも不安定なので☖82王と進みます。

そこで☗88金と逃げておけば、駒の損得なしに先手で☗94歩の拠点ができたことになります。

☗93銀のような手は実戦でよく現れますので、こういった手筋があることを学んでください。

 

第5問 受けの拠点を作る〇打ち 

 

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上図は後手が☖48竜と竜を二段目に利かせてきたところです。

このまま無条件に☖88銀成☗同角☖同竜☗同玉☖79角とされてはいけないので、受ける必要があります。

ヒントは、受けの拠点を先手で作る〇打ちです。

その手は受け一方ではなく、チャンスが巡ってくれば攻撃にも役立つ位置に打ちます。

一瞬、両取りにもなっています。

お考え下さい。

 

第5問解答

 

☗57角

 

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正解は☗57角です。

この手は一応両取りなので、☖88銀成☗同角までは必然ですが、このとき☗57角が79の地点を守っています。

竜を逃げるよりありませんが、☖58竜は☗68金、☖38竜には☗22竜(詰めろ)と攻め合って充分です。

後手の竜が4筋からずれたので、☖42歩の受けが効かないのです。

また竜が二段目から逸れるのであれば、先手の王が安全になります。

☗57角は将来☗65歩とつけば、9筋方面の攻めに使えてきますし、☗88角が成り込める余地もでてきます。

あとで手に困らないので☗57角は受け一方の手ではないのです。

 

第6問 攻めをつなげる英断

 

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上図は先手の優勢がハッキリしてきた局面で、ここで攻めをつなぐことができれば、さらに前進することができます。

一見☗63金と打ちこみたくなりますが、後手は金を持っていますので、☗52金打と千日手模様に粘られてしまいます。

63に打ちこむ駒が、桂馬だったらどうでしょうか。

金で取るしかありませんね。

その桂馬が落ちています。

見出しにも書いた英断の〇切りです。

お考えください。

 

第6問解答

 

☗73角成

 

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正解は☗73角成です。

☗61竜では攻めの大元を失いますので、桂馬を入手する手段は☗73角成しかありません。

大駒を切るので勇気のいる手ですが、この馬を何でとっても次の☗63桂が厳しくなります。

初心者向けに解説しますと、

  • ☖73同金直は、☗63桂に☖72王と逃げると☗71金で詰み。
  • ☖73同金左も、☗63桂に☖62王と逃げると☗51竜で詰み。
  • ☖73同桂右も、☗63桂に☖81王と逃げると☗92金で詰み。

結局実戦は☖73同金直としましたが、☗63桂がはいり☖同金寄☗同歩成☖同金の形が実現したのです。

終盤は駒の損得より速度」と言われます。

このように終盤は駒損をしても、王を追い詰める速度の方が大事なのです。

 

第7問 〇の行き場所を聞く

 

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上図は☗52金の詰めろに対して、☖41歩と受けたところです。

ここで☗51馬と詰めろを継続する手は、☖88竜と反撃されて詰みですし、☗51金打は☖62金打と粘られます。

ここで決め手があります。

今、後手の大事な駒である〇の位置は、攻防に利く一番良い位置となっています。

〇は縦にズレても横にズレても働きが半減するのです。

〇の位置の移動を願って△を打って動向を打診します。

お考えください。

 

第7問解答

 

☗49歩

 

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正解は☗49歩です。

この竜取りに後手がどう応じても、竜は最善の位置から逸れることになります。

最善の位置を逸れる手は、事実上パスしたのと同じになり、この切迫した終盤では指すことができません。

実戦では後手は仕方なく☖93桂としましたが、先手は☗48歩とおいしく竜を召し取って、先手の勝ちが決まりました。

 

   

まとめ

 

今日は先手米長玉対四間飛車の実戦の一連の流れを追ってみました。

 

第1章序盤の駒組み編のポイント

 

を整理すると

 

  • 4手目☖44歩で、居飛車振り飛車の出だしがほぼ決まる
  • 四間飛車の作戦が確定したあと王を囲いあう
  • 後手が☖45歩と角道を開けるときは、先手の陣形が整っていないタイミングで
  • 先手の☗25歩の突き出しに対しては☖33角と受ける
  • 四間飛車側に簡単に☖35銀を許さない☗36歩
  • 米長玉とは☗98王と端に王が寄る形のこと

 

第2章中終盤次の一手編のポイント

 

を整理すると

 

  • 開戦は歩の突き捨てから
  • 中盤は一瞬駒損をしても大駒のサバキを重視する
  • 大駒の利きを封じる手が、良い手になることが多い
  • 終盤は駒の損得より速度
  • 最善の竜の利きを逸らす底歩

 

となります。

 

いかがでしたでしょうか。

初心者の方は、序盤の駒組み編だけ覚えていただければ、将棋というゲームのだいたいのイメージを掴むことができると思います。

中終盤次の一手は、答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。

「将棋ってこんな流れなんだ」

ということを感じてください。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

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詰将棋のルール解説と簡単1手・3手詰み問題10選

んにちは! 将棋大好きマサ公です😊

 

今回のテーマは詰将棋です。

第1章では詰将棋のルールについて詳しく解説しています。

詰将棋には少し分かりにくいルールがありますが 、私の場合は解いているうちに次第に慣れていきました。

第2・3章では超初心者の方向けに1手・3手詰みの詰将棋を出題します。

詰将棋とは相手の王様を詰ますことを目的とした問題のことです。

慣れてくればサクサク解けて気分爽快、気持ち良いこと疑いなしです。

 

さっそく見ていきましょう。

 

 

 

 

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詳しくは下記記事をご覧ください。 

 

masakouchang.hatenablog.com

 

CONTENTS

 

 

   

 

第1章 詰将棋のルール

 

本章のポイント

  1. 王を詰ますことが目的
  2. 攻め方(先手)は王手の連続で攻める
  3. 王方(後手)は一番手数が長くなるように逃げる
  4. 残りの駒は全部王方の駒となり合駒に使用できる
  5. 無駄な合駒は禁止
  6. 持ち駒を使い切る
  7. その他は通常の将棋のルールと同じ
 
結論から言うと、今日ご紹介する1手詰みの詰将棋の場合は、以下のような細かいルールを気にする必要はありません。
最初に王手をして、次に王が行くところがなくなれば良いのです。
 

1. 王を詰ますことが目的

詰将棋は王を詰ますことが目的です。

 

2. 王手の連続で攻める

例えば3手詰みの手の流れを説明しますと、

  • 1手目(先手)・・・王手「王を取るぞ
  • 2手目(後手)・・・王手された駒を取る、王が逃げる、または合駒(第1図参照)をする
  • 3手目(先手)・・・王手で詰み

このように3手以上の詰将棋では、先手は王手を連続していきます。

 

第1図

 

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3. 王方は最長手順で逃げる

例えば5手詰みの場合、3手目で詰んでしまう手順は正解ではありません。

 

4. 残りの駒は全部王方の駒

盤上の駒と攻め方の持ち駒以外は、全部王方の持ち駒となります。

持ち駒は合駒として使用できます。

 

5. 無駄な合駒は禁止

第2図をご覧ください。

 

第2図

 

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第2図は竜による王手がかかっていますが、21に何を合い駒しても☗同歩成または☗同竜と取られてしまい、詰みはほどけません。

21に合駒する手を無駄な合駒といいます。

詰将棋では第2図の時点が詰み上がり図となります。

 

6. 持ち駒を使い切る

詰将棋では持ち駒を使い切らなければなりません。

持ち駒が余って詰んだ場合は正解の手順ではないということになります。

 

7. その他は通常の将棋のルールと同じ

将棋のルールについては下記記事をご覧ください。

 

masakouchang.hatenablog.com

 

棋譜の見方については下記記事をご覧ください。

 

masakouchang.hatenablog.com

 

 

 

第2章 出題 (1手詰み)

第1問 頭金 

 

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詰将棋2枚以上の駒の協力で詰むことがほとんどです。

上図で、と金で王手する手は駒の協力がなく王で取られてしまいます。

持ち駒の金との協力で詰むのですが、どこに打てばいいでしょう。

ヒントは「頭金」です。

 

第1問解答

 

☗22金

 

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王の頭に打つ☗22金が正解となります。

王様がどこへ逃げても金に取られてしまいますし、金を取るとと金に取り返されてしまいます。

詰将棋の超基本的な手筋(よくある形)ですので、頭金」の言葉のイメージで覚えてください。

 

第2問 吊るし桂

 

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持ち駒の打ち場所が限られています。

ノーヒントでお答えください。

 

第2問解答

 

☗43桂

 

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正解は☗43桂です。

桂の王手から逃げる手は、すべて王様をと金に取られてしまいます。

吊るし桂」とは、王様が桂馬の行き先にぶら下がっている感じからの命名でしょう。

 

第3問 コビン銀

 

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銀を斜めに利かすことを「コビン銀」といいます。

相手の守りの金の利きをうまくかわす王手がありますね。

 

第3問解答

 

☗42銀

 

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正解は☗42銀です。

これで王は空いているどの隙間に逃げても取られてしまいますし、銀を取ってもと金に取られてしまいます。

コビン銀の「コビン」とは漢字で「小鬢」のことで、王のコメカミ(斜め)を攻める感じからの由来でしょう。

 

第4問 強力な馬

 

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持ち駒がありませんので角かと金が動くことになりますが、どちらがどこへ動けば良いでしょう。

この問題も2枚の駒の協力で詰みます。

表題「強力な馬」が大ヒントです。

 

第4問解答

 

☗22角成

 

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正解は☗22角成です。

これで王様がどこの隙間に逃げても馬で取られてしまいますし、馬を取ってもと金で取り返されてしまいます。

☗22は☖13王と大海に逃げ出されてしまいますので注意してください。

 

第5問 両王手は合駒が効かない

 

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この問題は角が退(ど)けば香車による王手がかかることが、お分かりいただけると思います。

問題は角の退き方です。

表題の両王手とは、退いた駒によって同時に王手がかかることをいいます。

もっとも効果的な角の位置がお分かりになりましたか。

 

第5問解答

 

☗44角

 

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正解は☗44角です。

上図をご覧ください。

まず21の歩が邪魔していますので、王が逃げる手はありません。

では香車の利きを遮る合駒をすればよいのか、ということになりますが、角によっても同時に王手がかかっていますので、合駒もできないことが分かります。

逃げられず合駒もできないのでこの形は詰みなのです。

 

第3章 出題(3手詰み)

 

第1問 下段へ落とす〇

 

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上図は金か銀を打って迫っていくことになりますが、☗32金は☖12玉と逃げられて詰みません。

となると銀を打つしかありませんが、銀を打つ場所は限られていますね。

トドメは例によって頭〇です。

お考え下さい。

 

第1問解答

 

☗31銀☖同王☗32金(図)

 

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銀を打つ手は☗31銀しかありませんね。

この手に☖12王は☗22金ですが、詰将棋は同じ手数ならば取れる駒は取るのを原則とします。

なので☗31銀には☖同王と応じますが、そこでトドメの頭金☗32金までです。

 

第2問 空き王手

 

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上図は金が退くしか王手がありませんが、どこに退けば良いでしょうか。

詰将棋の場合、駒を欲張る手はまずハズレと思っていいでしょう。

お考え下さい。

 

第2問解答

 

☗21金☖12王☗22角成(図)

 

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問題図で初心者の方は、まず☗11金に飛びつきたくなるのではないでしょうか。

しかしこの手は☖22桂と合駒され、このあと王手が続きません。

☗22同角成は同玉でもちろん詰みませんし、☗12金としても☖同王で後が続きません。

 

正解手順は☗21金と空き王手する手で、22の地点に2つの駒が利いていますので、今度は☖22桂と合駒しても☗同角成で詰みとなります。

☖22桂は無駄な間駒なので、☖12王の一手となり☗22角成までの詰み上がりです。

 

第3問 金の守備の無力化

 

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本問は金の守りが強力で一見詰まなそうですが、持ち駒の桂馬を使って守りの金を無力化します。

お考え下さい。

 

第3問解答

 

☗33桂☖同金☗22金(図)

 

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ヒントにもかきましたとおり、初手に桂馬を使う手を考えてみますと、☗13桂は☖31王と逃げられて詰みません。

では☗33桂と打つとどうなるか。

この手に☖31王とすると今度は☗41金で詰んでしまいます。

☖11王は☗12金で詰み。

結局☗33同金しかありませんが、22への金の守りがなくなったので、☗22金と頭金を打つことができます。

 

第4問 美濃崩しの急所

 

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後手は手つかずの美濃囲いで一見固そうに見えますが、急所をつかれるともろくも崩れ去ってしまいます。

☗55角の利きを活かして〇とのコラボです。

 

第4問解答

 

☗34桂☖31王☗22金(図)

 

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〇は桂馬でした。

☗34桂と打たれると☖同歩は角で王を取られてしまいますので、王を逃げるしかありません。

しかし☖12王と逃げても☗22金で詰みですし、桂馬の利きが42もにらんでいますので、☖31王も☗22金までの詰みとなります。

 

第5問 穴熊も飛桂銀のコラボで崩壊

 

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この問題も後手は一見固い穴熊ですが、飛桂銀のコラボで崩壊してしまいます。

初手の王手は二通りしかありませんが、どちらが正解でしょう。

 

第5問解答

 

☗23桂☖同銀☗22銀(図)

 

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初手は☗23桂か☗22飛成しかありませんが、☗22飛成は☖同王で手掛かりをうしなってしまうのでいけません。

☗23桂には☖同銀しかなく、そこで空いた空間に☗22銀と打って詰みです。

 

 

 

まとめ

 

今日は以下の2点について学びました。

 

  • 詰将棋のルール
  • 王を詰ますには2枚以上の駒による協力が必要なことが多い
 
詰将棋には細かいルールがありますが、1手詰みのときはあまり拘らなくてもよいと言えます
 
今日の問題はすべて2枚以上の駒が関わっていましたね。
このように本将棋の詰みの段階においても、王を詰ますには複数の駒の協力が必要ですので、詰将棋は実戦に応用できます。
少しずつ終盤力を磨いていってください。
 
お読みいただきありがとうございました。
 

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