米長玉VS四間飛車戦の序盤解説と次の一手7選
皆さん、こんにちは! 将棋大好きマサ公です😊
今回は米長玉VS四間飛車の実戦から序盤の駒組のポイントの解説と、中終盤の次の一手を出題していきたいと思います。
米長玉は故米長永世棋聖が考案した有名な指し方で、戦法というよりも居飛車対振り飛車戦における左美濃作戦の一変化です。
王の位置がその特徴で、先手ならば☗98王、後手ならば☖12王の形を定位置とします。
今日は対振り飛車戦における左美濃定跡、通称「米長玉」を掘り下げてみたいと思います。
さっそく見ていきましょう。
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詳しくは下記記事をご覧ください。
第1章 序盤の駒組
第1章では米長玉VS四間飛車をテーマに、序盤の進行を一手ずつ解説していきたいと思います。
なかでも序盤のポイントの手は、特に詳細に触れていきます。
第1章は初心者の方の参考になると思いますので、重点的に読み進めてみてください。
将棋のルールについては下記記事をご覧ください。
将棋の初手と棋譜の見方については下記記事をご覧ください。
1. 振り飛車の出だしのポイント☖44歩
開始局面からの指し手
☗76歩☖34歩☗26歩☖44歩 (第1図)
第1図
後手が振り飛車を目指す場合の、出だしのポイントの手が☖44歩で、角交換を避けます。
2. 四間飛車
第1図以下の指し手
☗48銀☖32銀☗56歩☖42飛(第2図)
第2図
先手は☗48銀と攻めの銀の活用を目指します。
後手も同じ意味で左の銀を☖32銀と上がります。
☗56歩は銀の出口を作った手です。
そして後手は☖42飛と四間飛車の意思表示をします。
3. 玉の囲い合い
第2図以下の指し手
☗68王☖62王☗78王☖72王(第3図)
第3図
飛車の位置が決まったら、次は王の囲い合いです。
「居玉は避けよ」という格言があり、王を囲い合うのは序盤の大切なミッションです。
4. 先手持久戦の意思表示
第3図からの指して
☗58金右☖82王☗96歩☖94歩☗57銀(第4図)
第4図
先手は☗58金右と右の金を王に寄せます。
後手は☖82王と深い囲いを目指します。
9筋の端の突き合いは、王が端に逃げていったときの懐を広げ合った手です。
そして先手は☗57銀と持久戦の意思表示をします。
先手の手だけ示すと、☗68銀~☗57銀左の形もあり、この作戦は急戦となります。
5. 先手も王を深く囲う準備
第4図以下の指し手
☖43銀☗77角☖52金左☗88銀 (第5図)
第5図
後手の☖43銀は上部に備えた手です。
先手も☗77角と王を深く囲う準備です。
☖52金左は、まだ態度を保留して☖72銀と美濃囲いにする手と、☖92香以下穴熊囲いにする手の両方を含みにした手です。
☗88銀の意味は、棋譜の進行のとおり「銀冠(ぎんかんむり)」と呼ばれる堅い囲いを目指したものです。
6. 着々と駒組みが進行
第5図以下の指し手
☖64歩☗86歩☖74歩☗87銀(第6図)
第6図
☖64歩は、囲いの進展と将来の☖65歩の攻撃を見せた手です。
先手は☗86歩と銀冠を目指します。
後手の☖74歩は、☖73桂とはねる余地を作り攻撃を目指した手です。
先手は☗87銀と着々と囲いの進展を目指します。
7. 後手は美濃囲いの第一段階を完成
第6図以下の指し手
☖73桂☗66歩☖72銀(第7図)
第7図
後手は☖73桂と桂馬が出動して、次に☖65桂の両取りを狙います。
先手は☗66歩とその手を防ぎつつ、さらなる囲いの進展を目指します。
そして後手は☖72銀とついに美濃囲いの第一段階を完成させます。
8. 後手角道を開ける
第7図以下の指し手
☗88王☖45歩(第8図)
第8図
先手は☗88王と王を深く囲います。
これに対して後手は☖45歩と、各道を開けてきたるべき開戦に備えます。
参考
以下はやや難しめな内容なので、初心者の方は読み飛ばしていただいて結構です。
この☖45歩は今がタイミングと言えます。
☖63金左☗78金を交換してからの☖45歩だと、☗25歩☖33角☗24歩☖同歩☗65歩☖44銀☗64歩☖同金(参考1図動画)と決戦される恐れがあります。
参考1図動画
先手は☗24と突き捨て、飛車先を軽くしてから☗65歩と決戦します。
角交換は、後に☗24飛を許し飛車先を突破されてしまうので、☖44銀と交換を拒否します。
しかし☗64歩と取り込まれて、☖同金となった形は金の形が良くありません。
☗65歩の決戦ができるのも、☗78金と囲いが完成しているからです。
その点☗69金型で☖45歩と突けば、先手はまだ囲いが弱く決戦がしにくいのです。
ゆえにこの瞬間が、☖45歩と角道を開けるタイミングと言えるのです。
9. 飛車先は角で備える
第8図以下の指し手
☗25歩☖33角(第9図)
第9図
先手は☗25歩と飛車先の歩を進めます。
つぎに☗24歩とされてはいけませんが、ここで☖33角が大事な手です。
振り飛車を指しこなすには、☗25歩にはワンセットで☖33角とするもの、と覚えてください。
それでも☗24歩ときたら、☖同歩と応じておいて飛車先を破られる事はありません。
10. 四間飛車棒銀に備える
第9図以下の指し手
☗78金☖44銀☗36歩(第10図)
第10図
先手は☗78金と締まり、次に☗67金右とできれば銀冠の完成です。
ここが一つのポイントです。
次に後手に簡単に☖35銀を許してはいけません。
四間飛車棒銀に限らず、棒銀側に簡単に銀の五段目への進出を許すと、作戦的に損をすることが多いのです。
そこで先手は☗36歩と☖35銀を防ぎつつ、☗37桂の活用を目指します。
11. 居飛車の税金
第10図以下の指し手
☖54歩☗67金右☖84歩☗16歩(第11図)
第11図
後手は☖54歩と、場合による☖55歩の開戦を狙います。
先手は予定通り、☗67金右と銀冠を完成させます。
後手は☖84歩と囲いの進展を目指しつつ、場合による☖85歩の攻撃を狙います。
これに対して、先手が☗16歩と突いた手は「居飛車の税金」と言われます。
☗37桂と跳ねるためには、何かの時に☖15角と出られる手が嫌味なのです。
その手をあらかじめ防ぐ☗16歩ですが、この手が一見余計な手を強いられているように見えるので、「税金」と表現されるのです。
☖14歩と端歩を突き合う手を省略して、他の有効な手を後手に指されると、☗16歩が緩い手となってしまう恐れがあるのです。
12. ついに本題の米長玉登場
第11図以下の指し手
☖63金左☗98王(第12図)
第12図
後手は☖63金左と、さらに囲いの進展を目指してきます。
ここでついに本題の米長玉が登場します。
先手が☗98王とした手がそれです。
この端玉が米長玉で、この手は
- ☖33角の角筋から王の位置を逸らす
- 王が端にいる分だけ、横からの攻めに対して一路遠い
という意味を持ちます。
ただ王が端に寄る関係上、将来、端から攻められることは覚悟する必要があります。
故米長邦夫永世棋聖は、この手がでると必ず勝てる、ゲンのいい一手とおっしゃられていました。
その後、米長玉は一つの定跡となり、一時期プロアマ問わず多用されました。
13. 双方の駒組みが完成そして開戦
第12図以下の指し手
☖83銀☗37桂☖72金☗29飛☖35歩(第13図)
第13図
☖83銀と後手も銀冠を目指します。
先手は☗37桂と右の桂馬を活用します。
後手は☖72金と銀冠を完成させます。
先手の☗29飛は、将来☖37歩成とされた手が飛車取りにならないように、未然に当たりを避けつつ手待ちした手です。
そして駒組みがほぼ頂点に達したので、☖35歩と後手から開戦してきます。
ここまでで序盤が終わり、ついに中盤戦に突入します。
第2章 中終盤次の一手
第2章では、次の一手形式で中終盤を解説します。
初心者の方には少し難しくなりますので、読み流していただいて何となくイメージを掴んでください。
答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。
腕に自信のある方は、ヒントを見ずに問題を考えてみて、後からヒントを見る順番をお勧めします。
第1問 開戦は歩の突き捨てから
序盤編の最終手☖35歩以下、☗同歩☖同銀と進行して上図となります。
「開戦は歩の突き捨てから」と言われ、ここは先手も歩を突き捨てるタイミングです。
☗25歩がいたままでは飛車先が重いですね。
突き捨てて軽くしましょう。
第1問解答
☗24歩
正解は☗24歩です。
☗25歩がいたままでは飛車先が重いので、あらかじめ突き捨ててしまうのが開戦の常道です。
これに対して何で取るかですが、
- ☖同角は☗65歩と突いた手が、香車取りになるのでやりにくいでしょう。
- ☖同銀は☖46歩の攻めを狙っていたのに、☖24銀の形は銀が遊んでしまいます。加えて銀が再び動くと、23に飛車に成られてしまう形になっています。具体的には☗26飛と、桂頭攻めに備えられているくらいで、後手が少し不満でしょう。
したがって☖同歩が自然です。
第2問 駒損覚悟のサバキ
上図は前問の☖24同歩以下、☗34歩☖22角と進んだ局面です。
先手は歩切れで一見手が難しそうですが、ここで駒損覚悟の大サバキに打って出る手があります。
☖35銀が動けば、☗24飛と走ることができますね。
それを実現するために、まずは取られそうな〇を捨てます。
歩切れを解消する意味もあります。
お考えください。
第2問解答(動画)
☗45桂
正解は☗45桂です。
歩切れを解消しつつ桂馬を捨てます。
これには☖同飛と取るしかありませんが、そこで☗46銀とブツケルのが、☖35銀の移動を願う手荒なサバキです。
☖同銀☗同歩☖同飛と進むしかありませんが、そこで☗24飛と走っていい勝負です。
この後☖44角が予想され、☗21飛成と桂馬を取り返しながら一歩先に飛車が成りこんで、先手にこれといった不満はありません。
第3問 相手の駒の働きを封じる
上図は後手が、33にいた角を☖24角と逃がしつつ、先手陣の急所に利かせてきたところです。
このまま☖24角に威張られると、先手の☗77角がまだ攻めに働いておらず、角の働きの差が出そうです。
そこで後手の角を封じれば良いのではないか、という着想がこの局面での正解です。
封じるためには、☗32竜の利きと持ち歩を活かします。
お考えください。
第3問解答
☗35歩
正解は☗35歩です。
これで後手の角の利きを封じることができます。
将棋ではこのように、相手の大駒の利きを封じる手が、有効な手となる場合がよくあります。
一見地味な手ですが、丁寧な手だとも言えます。
雑な手を指すよりも、丁寧な手の積み重ねの方が、良い結果を招くことが多いのです。
第4問 拠点を先手で作る
上図は☗95歩の銀取りに対して、後手が☖69銀と強気に攻め合ってきた局面です。
とっさに金を逃げる一手と判断してしまいそうですが、ここは先手が後手陣に拠点を残すチャンスです。
攻めるとしたら、☖69銀のスピードに勝てる手は王手しかないですね。
☗94歩の取り込みを先手にします。
お考え下さい。
第4問解答
☗93銀
正解は☗93銀です。
この王手に対して王が逃げるのでは、☗93銀が拠点として残ります。
☖同玉の一手ですが☗94歩と取り込んで、歩を取る手はあまりにも不安定なので☖82王と進みます。
そこで☗88金と逃げておけば、駒の損得なしに先手で☗94歩の拠点ができたことになります。
☗93銀のような手は実戦でよく現れますので、こういった手筋があることを学んでください。
第5問 受けの拠点を作る〇打ち
上図は後手が☖48竜と竜を二段目に利かせてきたところです。
このまま無条件に☖88銀成☗同角☖同竜☗同玉☖79角とされてはいけないので、受ける必要があります。
ヒントは、受けの拠点を先手で作る〇打ちです。
その手は受け一方ではなく、チャンスが巡ってくれば攻撃にも役立つ位置に打ちます。
一瞬、両取りにもなっています。
お考え下さい。
第5問解答
☗57角
正解は☗57角です。
この手は一応両取りなので、☖88銀成☗同角までは必然ですが、このとき☗57角が79の地点を守っています。
竜を逃げるよりありませんが、☖58竜は☗68金、☖38竜には☗22竜(詰めろ)と攻め合って充分です。
後手の竜が4筋からずれたので、☖42歩の受けが効かないのです。
また竜が二段目から逸れるのであれば、先手の王が安全になります。
☗57角は将来☗65歩とつけば、9筋方面の攻めに使えてきますし、☗88角が成り込める余地もでてきます。
あとで手に困らないので☗57角は受け一方の手ではないのです。
第6問 攻めをつなげる英断
上図は先手の優勢がハッキリしてきた局面で、ここで攻めをつなぐことができれば、さらに前進することができます。
一見☗63金と打ちこみたくなりますが、後手は金を持っていますので、☗52金打と千日手模様に粘られてしまいます。
63に打ちこむ駒が、桂馬だったらどうでしょうか。
金で取るしかありませんね。
その桂馬が落ちています。
見出しにも書いた英断の〇切りです。
お考えください。
第6問解答
☗73角成
正解は☗73角成です。
☗61竜では攻めの大元を失いますので、桂馬を入手する手段は☗73角成しかありません。
大駒を切るので勇気のいる手ですが、この馬を何でとっても次の☗63桂が厳しくなります。
初心者向けに解説しますと、
- ☖73同金直は、☗63桂に☖72王と逃げると☗71金で詰み。
- ☖73同金左も、☗63桂に☖62王と逃げると☗51竜で詰み。
- ☖73同桂右も、☗63桂に☖81王と逃げると☗92金で詰み。
結局実戦は☖73同金直としましたが、☗63桂がはいり☖同金寄☗同歩成☖同金の形が実現したのです。
「終盤は駒の損得より速度」と言われます。
このように終盤は駒損をしても、王を追い詰める速度の方が大事なのです。
第7問 〇の行き場所を聞く
上図は☗52金の詰めろに対して、☖41歩と受けたところです。
ここで☗51馬と詰めろを継続する手は、☖88竜と反撃されて詰みですし、☗51金打は☖62金打と粘られます。
ここで決め手があります。
今、後手の大事な駒である〇の位置は、攻防に利く一番良い位置となっています。
〇は縦にズレても横にズレても働きが半減するのです。
〇の位置の移動を願って△を打って動向を打診します。
お考えください。
第7問解答
☗49歩
正解は☗49歩です。
この竜取りに後手がどう応じても、竜は最善の位置から逸れることになります。
最善の位置を逸れる手は、事実上パスしたのと同じになり、この切迫した終盤では指すことができません。
実戦では後手は仕方なく☖93桂としましたが、先手は☗48歩とおいしく竜を召し取って、先手の勝ちが決まりました。
まとめ
今日は先手米長玉対四間飛車の実戦の一連の流れを追ってみました。
第1章序盤の駒組み編のポイント
を整理すると
第2章中終盤次の一手編のポイント
を整理すると
- 開戦は歩の突き捨てから
- 中盤は一瞬駒損をしても大駒のサバキを重視する
- 大駒の利きを封じる手が、良い手になることが多い
- 終盤は駒の損得より速度
- 最善の竜の利きを逸らす底歩
となります。
いかがでしたでしょうか。
初心者の方は、序盤の駒組み編だけ覚えていただければ、将棋というゲームのだいたいのイメージを掴むことができると思います。
中終盤次の一手編は、答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。
「将棋ってこんな流れなんだ」
ということを感じてください。
お読みいただきありがとうございました。
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