定番だけどやっぱり怖い?振り飛車側、棒銀を木村美濃☗68金型で迎え撃つ
こんにちは! マサ公です😊
先手の受けの形は木村美濃☗68金型を採用してみました。
木村美濃は故木村14世名人が、戦前香落ち戦で多用した形でした。
故大山15世名人の時代にも、ツノ銀中飛車の守りの形として流行しました。
木村美濃は王が薄く、木村名人は王が裸になって、空中遊泳するような将棋を読み切って勝たれていました。
それは当時の名人戦が、持ち時間15時間の三日制で行われていたという、持ち時間の豊富さゆえの事情とも言えます。
持ち時間の短い現代では穴熊のような、王に流れ弾が当たりにくい囲いが好まれているのも、納得のいく実情でしょう。
本局も例にもれず際どい将棋となりました。
最後に見せ場がありますのでご期待ください。
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詳しくは下記記事をご覧ください。
第1章 先手三間飛車VS居飛車棒銀、序盤全体の流れとポイント
序盤全体の流れ
まずこの将棋の序盤全体の流れの動画をご覧ください。
基本図動画
序盤のポイント
- 後手、棒銀の意思表示
- 先手、木村美濃に組み☗68金型で迎え撃つ
- 後手、小競り合いから☖74銀型を目指す
- 後手、損のない突き捨て☖86歩
- 後手の☖13角で本格的な戦いが始まる
1. 後手、棒銀の意思表示
第1図
上図は後手が☖73銀と棒銀の意思表示をした局面です。
後手の急戦の定番といえば棒銀です。
振り飛車側としては、受け方を間違えるといっぺんに潰されてしまう、破壊力抜群の戦法です。
2. 先手、木村美濃に組み☗68金型で迎え撃つ
第2図
棒銀対策にはいろいろな形がありますが、私が有力視しているのは木村美濃と☗68金型の組み合わせです。
上図がその布陣で、☗68金は持久戦になれば右に寄せていく形になります。
3. 後手、小競り合いから☖74銀型を目指す
第3図
後手は棒銀の方針に沿って☖75歩と仕掛けますが、動画でもお分かりになりますとおり、まだ本格的な戦いにはなりません。
この流れは中盤前の小競り合いといったところでしょうか。
「上図の局面で☖72飛としてきたらどうするのにゃ?」
ちなみに☗76同銀の局面で、後手が☖72飛と決戦する手は☗65歩と先手から大捌きに打って出る手があります。
以下☖77角成に☗68金型の特性を活かして☗同金と応じる手があります。
後手は☖65歩と歩を取るくらいですが、そこで☗83角☖73飛☗65角成と馬作りを狙う手があり、先手充分の形勢になります【参考1図】。
参考1図
先手にはこれといった角の打ち込みのスキがなく、一方的に馬を作ることができます。
4. 後手、損のない突き捨て☖86歩
第4図
上図は後手が☖86歩と飛車先の歩を突き捨ててきた局面です。
居飛車側としては、本格的な戦いの前の常道とも言える突き捨てです。
先手から☗88飛~☗85歩と、反撃する手がない形ないので損がありません。
これに対して☗同角は、後手に☖65歩の仕掛けを与えるのが嫌な形なので、☗同歩と応じます。
5. 後手の☖13角で本格的な戦いが始まる
第5図
上図は後手が☗68金に狙いをつけて☖13角とした局面です。
この手から本格的な戦いが始まります。
放っておけば、☖65歩☗同歩☖同桂(角が動けない)を狙っています。
この形の受け方から次の一手編に入ります。
第2章 中終盤次の一手問題4選
第1問 ☖13角の受け方
上図は第5図を再掲しています。
さて上図でこのまま放っておけないとすると、受け方を考えなければいけません。
☗68金が狙われていますので、逃げる手が有力です。
どこへ逃げたら良いでしょう。
三択からお選びください。
A ☗78金
B ☗69金
C ☗58金
第1問解答
B ☗69金
正解はBの☗69金です。
この手は☖57角成を許すので一見先手が苦しそうです。
しかしそこで☗68角とすると馬は行き所がなく、角交換の一手となり☖57角成の一手が無駄な手となってしまいます。
そこで後手は☗15歩の角頭攻めに備えて☖24角としますが、それでも☗68角とブッつける手があります。
これに対して☖33角では動いた意味がありません。
そこで☖68同角成と角交換してきますが、☗同金と応じておいて、後手の☖24角がやはり無駄な手となります。
しかし後手もただ無駄な手を指したわけではなく、ここで再度☖24角と打つ手が有力です。
今度は☗58金と応じ☖79角成と進んで第2問です。
他の候補手のうちA☗78金は、後手が☖57角成とくれば☗68角で同じ形になります。
しかし他の手を指されたとき、☗78金は金が王から遠ざかる手となり、中央に活用しにくい分、☗69金より劣ります。
C☗58金は☖79角成と成り込まれてしまいます。
本譜との違いは先手の角が捌けていない点です。
このとき☗68角は、☖69馬と飛車取りに寄られ馬が生還してしまいます。
第2問 反撃
上図は後手が☖79角成と角を成り込んだ局面です。
ここで先手は反撃に転じます。
後手の弱点はどこでしょう。
三択からお選びください。
A ☗55歩
B ☗46角
C ☗72角
第2問解答
A ☗55歩
正解はA☗55歩です。
この手は放っておいて次に☗54歩と取り込まれると、☖同銀は☗72角があるので後手にとって非常に厳しい反撃です。
☖同歩と取り、☗54歩に☖62銀と耐えておくしかないですが、そこで先手は☗46角と打ちます。
この手は馬を消そうという手です。
本譜は☖同馬☗同銀☖88歩と進行して第3問へと進行しましたが・・。
「☗46角に☖69馬とされたらどうするのにゃ?」
☖69馬とかわす手には☗78歩と辛抱しておいて、次に☗55角の狙いがあるので先手不満はありません(参考3図)。
参考2図
他の候補手ですがBの単に☗46角は、手順前後です。
☖69馬☗88飛と進行し、後からの☗55歩は☗72角の狙いがないため、後手に馬を生還されてしまいます。
Cの単に☗72角は☖71飛とされて角が死んでしまいます。
第3問 攻防の〇
上図は後手が☖88歩と歩を打ってきた局面です。
ヒントは攻防の〇です。
三択からお選びください。
A ☗47角
B ☗88同飛
C ☗77桂
第3問解答
A ☗47角
正解はA☗47角です。
この手は74の銀取りと同時に、☗58金に紐をつける攻防の角です。
Cの単に☗77桂は☖76歩☗同銀☖69角とされ、これは先手困ります。
☗47角はこの順を未然に防いでおり、しかも銀取りなので後手はこれを防がなければなりません。
☖65歩と防ぐ手は☗77桂で、かえって☗65桂と跳ねる調子がついてしまいます。
また☖63銀直は53の地点が弱くなるので、後で☗55銀と出られたときに、☗44歩☖同歩☗45歩を狙われてやりにくいです(参考4図)。
参考3図
結局☖63銀引とするしかありませんが、これで☗74歩の狙いができました。
Bの☗88同飛は☖79角の飛車銀両取りで困ります。
第4問 〇の遅早(おそはや)
上図は☖71銀と銀取りをかわした局面です。
このままだと25の桂を取りながら歩が進んでくるので、忙しい局面です。
ヒントは〇の遅早(ゆっくりしているようで早い手)です。
三択からお選びください。
A ☗72歩
B ☗62銀
C ☗63と
第4問解答
C ☗63と
正解はCの☗63とです。
この手は次に☗53歩を狙っており、☖25歩のスピードに充分対抗できます。
具体的には☖25歩☗53歩☖26歩に、☗35銀と玉頭攻めに備えつつ攻防に打っておきます。
以下☖25香が嫌ですが、☗44歩と馬を抑えつつ攻めを狙い、☖34歩(☗同銀は☖44馬)☗52歩成と攻め合います。
さらに攻め合う☖27銀には、☗39王☖38銀成☗同角☖27歩成に、☗同角と応じておきます(参考5図)。
参考4図
以下☖同香成には☗同飛が、22の馬に直射して絶好の手となります。
他の候補手ですが、A☗72歩は銀は取れますが、後手陣への響きが薄く大勢に遅れます。
B☗62銀は☖同銀と取ってくれれば☗同とで調子が良いですが、この手には☖31飛と逃げる手があります。
これでは打った銀が重くなり、ここで☗71銀不成とするようではやはり大勢に遅れます。
AとBに共通して言えることは、この忙しい局面で☖71銀などという、遊び駒(働きの薄い駒)を相手にしている場合ではないということです。
まとめ
今日は先手ノーマル三間飛車VS居飛車棒銀の戦型をテーマに解説してきました。
第1章序盤編のポイントを再掲します。
- 後手、棒銀の意思表示
- 先手、木村美濃に組み☗68金型で迎え撃つ
- 後手、小競り合いから☖74銀型を目指す
- 後手、損のない突き捨て☖86歩
- 後手の☖13角で本格的な戦いが始まる
第2章中終盤次の一手編のポイントは
- ☖13角の受け方
- 厳しい反撃、手順前後に注意
- 攻防の角
- と金の遅早
でした。
第3章詰将棋観賞コーナーのポイントは
「勝ち将棋鬼の如し」
でした。
先手ノーマル三間飛車VS居飛車棒銀の戦型は、最新のトレンドではありませんが、その実戦の中には参考になる手筋があふれています。
これらのポイントを押さえて、皆さんの将棋の上達にお役立てください。
お読みいただきありがとうございました。
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