取り合いで局面のバランスを保つ~厳しい銀の割打ち
しばらくご無沙汰しました。
今回から将棋のルールを覚えたてのごく初心者の方向けに、有段者の実戦に生じた簡単な問題を取り上げていきたいと思います。
問題を気持ちよく解かれて、スキっと爽快、少しづつ将棋を好きになってもらえたら幸いです。
<商品のご紹介>
「藤井聡太 強さの本質」書籍編集部編
藤井二冠の強さに迫る本書。
藤井二冠は昨年の王位戦で一見級位者が指すような平凡な受けの手を指し、今や人を上回る強さを誇るソフトからも酷評されました。
しかしソフトの読む奥行きを数億手に増やすと、彼の指した手が最善手として浮かび上がるという分析結果が出ました。
この事実は計り知れない彼の強さの一端を物語るものだと思います。
そんな藤井二冠の強さの本質が綴られた本書をお読みになって、さらに彼の強さの深淵に触れてください。
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第1問 駒の取り合い
今、後手の☖42角の銀取りに先手が☗16歩と受けた局面です。
現在の状況は、☗22歩の桂取りがかかっていて、☖22飛とこの歩を取ると☗34飛と銀を取られてしまいます。
また桂を逃げる☖33桂も、☗34飛で銀がタダです。
桂馬取りが受からないので、15の銀と差し違える発想が将棋のバランスのとり方です。
銀をどうやって召し取りますか?
12の香車の利きを活かす取り方です。
第1問解答(図)
☖14歩
正解は☖14歩です。
これで銀は行くところがありません。
先手は☗21歩成と桂馬を取るしかなく、後手は☖15歩ととり返して桂馬と銀の交換(駒得)に成功します。
問題図で直接、銀を☖15角と取ってはいけません。
☖15角は角と銀の交換となり、駒を損する手です。
将棋は「歩、香車、桂馬、銀、金、角、飛車」のうち、一般に右の駒ほど価値が高く、価値の低い駒とより価値の高い駒との交換を目指すのが、戦いがおこってからの目的となります。
なぜそう言えるのかというと、駒の価値が高い駒ほど行けるところが多く、それだけ手の選択肢が広いからです
逆に王を詰ます段階になるとこの理屈は逆転し、どんなに駒を損しても、自分の王より一手早く相手の王を詰ましてしまえば良いわけです。
解答図のように桂馬と銀の交換を果たせば、一つの大きな戦果となります。
また、この交換は一か所にしか動くことのできない21の桂馬が持ち駒の銀に化けたことを意味し、銀をいつでもどこにでも打てる手の広さを考えると、ものすごく大きな交換です。
将棋はこのように得な交換を目指すのが中盤の闘いと言えます。
第2問 銀の割打ち
続いて第2問です。
今、先手が☗56同金と飛車を取った局面です。
第1問で駒得の交換を目指すと良いですよと申し上げました。
しかし、図の局面は飛車と銀の交換で駒損です。
一見大変な損をしているように見えますが、ここで良い手があるのです。
この問題では駒交換の原則の例外を取り上げてみました。
図では先手の金と飛車の死角に目をつければ、銀を使ったいい手がありますね。
考えてみてください。
第2問解答(図)
☖47銀
正解は☖47銀です。
これで飛車が逃げて金をタダで取り返せれば、飛車と金銀2枚との交換になります。
こういった交換を将棋用語で「2枚換え」といい、金銀を取った方が得と教えます。
具体的には、飛車が一個上に逃げる☗37飛に、☖56銀成と金を取り返した局面は、
- 後手の守りが非常に堅く、飛車を打ち込まれてもすぐには王に響かないこと
- 56の成銀が強力な攻めの手掛かりになること
- 金・銀2枚と、飛車・桂馬・香車の3対3の交換ではあるが、王の守りが薄くなっている先手の損が大きいこと
などを考え合わせると後手が有利と判断できるのです。
後手の殆ど働きのない端っこの桂馬と香車が、守りの金銀と換わることは見た目以上に大きいのです。
このことを将棋用語で「駒の効率」といいます。
次回もこの将棋を追ってみたいと思います。
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