飛車の活用の仕方次第で羽生九段に勝機があった?
第33期竜王戦第5局
羽生九段VS豊島竜王戦
今回は私なりに分析した、第5局の勝敗のポイントをお伝えしたいと思います。
第1図は羽生九段の☗24歩に対して、豊島竜王が☖37歩成とした局面です。
【第1図】
ここで羽生九段は前手の勢いで☗23歩成☖同金☗43銀と攻めていきましたが、挟撃体制を許したまま駒を渡す流れとなり、先手玉は危険な状態となりました。
第1図を独自に検討した結果、ここで☗34飛(第2図)があったのでは?という結論に至りました。
【第2図】
この手は放っておけば☗23歩成☖同金☗32銀を狙っており、後手が☖24歩と手をもどせば☗37飛としておいて、先手玉の右辺を広くしておこうという手です。
さらに☗37飛の局面は☗61銀の攻めを狙っており、一旦後手を引いて次に厳しい手を狙うという「後の先」になっています。
駒損の後手はぐずぐずしていられず、☖47と☗同金☖24角と決戦を挑んでくる可能性がありますが、☗24同角☖同歩☗23銀(第3図)
【第3図】
と絡んで、☖同金に☗32角以下有力な馬ができて先手が続き、羽生九段のペースだったと思います。
豊島竜王、タイトル防衛おめでとうございます。
竜王を防衛し続け、いずれ藤井二冠とのドリームマッチの実現を期待しています。
タイトル通算100期を目指して戦った羽生九段は、どの将棋も大接戦で非常に惜しい内容だったと思います。
50歳を迎えて、その将棋は寸分の衰えも見せず、100期獲得は時間の問題かと思います。
両者の今後のご健闘をお祈り申し上げます。
初心者コーナー
第4図は前回の途中図です。
☗42飛と四間飛車を明らかにした局面です。
【第4図】
今日は玉の囲い方を勉強します。
図で先手は☗68玉とします。
将棋の格言(初心者にも分かりやすい言葉で、先人が教訓をのこしたもの)に「居玉は避けよ」という教えがあり、玉が始まりの位置にずっと居続けるのは避けた方が良いと戒めています。
なぜ居玉を避けた方が良いのかというと、このまま将棋が進行すると飛車の周辺で闘いが起こりやすく、予め戦場から玉を遠ざけておいた方が流れ弾に当たりにくいからです。
☗68玉に後手も☖62玉と囲いを目指します。
以下☗78玉☖72玉となって第5図
【第5図】
ここでの先手の考え方は金銀を連絡することです。
49の金に連絡がない(「離れ駒」という)ので、☗58金右とします。
後手はさらに☖82玉と深く入ります。
先手は☗36歩と銀と桂の出口を作りつつ、角頭を狙って将来の☗35歩の開戦を見せます。
攻撃には欠かせない手です。
この後☖72銀☗68銀☖52金左と進行します(第6図)。
【第6図】
この後手の形を「美濃囲い」と言い、横(右側)からの攻めに鉄壁の堅さを誇ります。
先手の形は「舟囲い」と言われ、攻撃力に富んだ形です。
今回はこの形を覚えてください。
初心者詰将棋コーナー
再掲詰将棋問題【第7図】
詰将棋解答【第8図】
☗22金
☗22金が正解です。
☗23金や☗11金も王手ですが、☖同玉と取られて詰みません。
☗22金と32のと金の利きに打つのが正解です。
今週の詰将棋問題【第9図】
後手玉は堅そうですが、角と桂馬の協力で詰ますことができます。
もうお分かりですね。
宿題
再掲前回の宿題【第10図】
前回の宿題解答【第11図】
☖15歩(右上隅を11とします)
正解は☖15歩です。
これに☗同歩は☖12歩以下香が取れますので、勢い☗45桂以下の決戦になります。
ヒントにも書きましたが、☖15歩は1筋からの攻めを見せて相手を焦らせる催促の手だったのです。
☗45桂☖同桂☗44銀(第12図)となりますが、この局面が今回の宿題です。
今回の宿題【第12図】
先に桂馬を入手することができたので、攻めのチャンスです。
46の角の利きと77の桂馬を生かす攻めです。
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