守備の要を攻めて駒得を目指すのがコツ~桂先の銀定跡なり
皆さん、こんにちは。将棋大好きマサ公です。
いつも小欄をご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は将棋の中盤から終盤の入り口にスポットをあててみたいと思います。
お付き合いくだされば幸いです。
なお、将棋の序盤には定跡というものがあり、考え方を問われるというより、覚える意味あいが強いので、小欄では割愛しています。
様々な戦法がありますので、プロの参考書などをご参照ください。
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第1問 駒の出世を目指す
上図は先手が☗48同金と、と金をはらった局面です。
この局面の考え方は、
- 後手は攻めのチャンスであるということ
- 攻めのポイントは味方の駒の利きを活かすこと
- 急所の守り駒を見極めること
- 有利な駒交換を目指すこと
順に説明していきます。
攻めのチャンス
後手の王は守りが堅く、怖い手は34のと金と52の金の交換を目指す☗43とだけです。
ということは一手早く先手の守り駒に食いつく形にできるチャンスと言えます。
味方の駒の利きを活かす
急所の守り駒を見極める
現在敵陣を睨んでいるのは、竜と角です。
特に角の利きの延長には、敵の急所の守り駒の金と飛車がいます。
ということは、急所の守り駒は48の金ということになります。
48の金が動くと飛車が取れる形をしていますね。
有利な駒交換を目指す
47歩が効けば良いのですが、残念ながら二歩(同じ縦の筋に二枚目の歩を打つと反則)なので打てません。
以上を考え合わせたうえで、48の金を攻める手となると限られてきます。
繰り返しになりますが、より価値の低い駒とより高い駒との交換を目指すのです。
お考え下さい。
第1問解答
☖36桂(図)
正解は☖36桂です。
金を逃げる手は☗58金が考えられますが、これに☖59角成☗同金と単純に飛車角交換するのはどうでしょうか。
これは結論から言うとチャンスを逃しています。
その理由は
- 59の金が良く受けに利いていて、直後に有効な攻め手がないこと
- 受けにしか働いていなかった先手にとって重荷の飛車が角と交換になって、その角が攻めに働いてくること
有効な攻め手がない
59の金は「一段金」といって、前に打った49の香車とのバランスが良く、飛車に強い形です。
例えば☖28竜の王手には☗58歩(参考1図)の受けが効き、このように飛車の利きが歩によって遮られてしまう形は飛車の威力が半減してしまいます。
(参考1図)
以上のように単純な飛車角交換だけでは、直後に有効な手がないケースがあり得るのです。
先手は手に入れた角が攻めに働いてくる
59の飛車は攻めの働きが全くなく、攻撃の目標になるばかりの重荷の駒だったのです。
それが持ち駒の角に換わったのですから、先手としては大歓迎です。
このように将棋では、相手が喜ぶ手を指してはいけないのです。
相手の嫌味嫌味と迫るのが理想で、逆に言えば相手の嫌味を最後までつけば、将棋は必ず勝てるのです。
参考までに、正解手☖36桂に☗58金と逃げる手に対しては、この場合逃げた金の頭に☖57銀(参考2図)と打つ手があります。
(参考2図)
難しくなりますので詳しい変化は省略しますが、一例を示すと☗同金引には☖同竜☗同金に☖59角成と飛車を取りつつ馬をつくることができます。
飛車が取れるからといってすぐにその手に飛びつくのではなく、負担の飛車は放っておいて、なるべく目標にした方がよいことを頭の隅に留めておいてください。
初心者の方は、攻めのチャンスと急所の守り駒を見極め、価値の低い駒で高い駒を攻めるという考え方を学んでいただければ充分です。
第2問 桂先の銀
この問題では基本的な「受けの手筋」について学びます。
「手筋」とは似たような形がよく出てくる場合に使う将棋用語です。
上図をご覧ください。
今、☗86桂と香車取りをかけられた局面です。
この手は放っておくと次に☗94桂と王手されます。
放っておいて攻めに出ると相手に駒を渡しますので危険です。
また先手にはもう一枚桂馬がありますので、☗74桂打という王手も狙われています。
したがって、この局面は受け(守り)を考える場面なのです。
その受けは銀を使います。
94の香車を守り、74にも利かせる銀打ちとなると場所が限られてきますね。
考えてみてください。
第2問解答
☖85銀(図)
正解は☖85銀です。
桂馬の頭に銀を打つのは守りの決まった形です。
良く出てくるので覚えてください。
これで☗94桂には☖同銀ととれますし、☗74桂打にも☖同歩で差し支えありません。
例えば☗77桂打などと銀を攻められたら、☖86銀と桂馬と差し違える要領です。
一時的に銀桂交換の駒損をしますが局面は既に終盤で、駒の損得よりも相手の王を早く追い詰めること、または自分の王を安全にすることの方が重要なのです。
将棋では局面が終盤へと進むにつれて、この駒の価値の逆転があることを是非学んでください。
まとめ
今回は将棋の終盤の考え方として4つのの大事なことを学びました。
- 終盤の入り口では、より価値の低い駒で金銀などの重要な守り駒を攻める
- 相手の負担の駒と味方の大事な攻め駒を安易に交換しない
- 桂馬の頭に銀を打つのが良くある守りの形
- いよいよ敵の王に迫る段階では駒の損得よりも、相手の王を追い詰めることや、自分の王を安全にすることの方が重要になる
以上の4点のうち、終盤の駒の価値の逆転の考え方は特に重要ですので頭の隅に留めておいてください。
次回は王の捕まえ方、将棋用語でいう「寄せ」について学びます。
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