力のこもった底歩、金取り催促で安全勝ち|広瀬八段戦
目次
今回、藤井二冠の対局に取材し、私が主観的に選んだ「この一手」をご紹介したいと思います。
第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦
第1図をご覧ください。
【第1図】
今、後手藤井二冠が48角とした局面です。
この48角は読みの入った手で、47金と寄られると広瀬陣だけ見ていては、続く手がパッと見当たりません。
しかし金があれば詰みであることに着目し、局面を広く見渡せば絶好の手があったのです。
私が選んだ今回のこの一手は攻防の71歩(第2図)です。
【第2図】
金が逃げるわけにいきません。
しかも金取りを避ける同角成は、眠っていた21の飛車が角と変わる形となり、指しきれません。
結局54桂と攻め合うしかないようです。
しかし72歩と金を取って、先手玉は詰めろ、後手玉は詰まず藤井二冠の勝勢がハッキリしました。
以下89銀と受けましたが、この手で68玉の早逃げは、そのとき先に48角を利かしたのが生きて、58銀と詰めろを継続することができるのです。
48角から71歩の一連の寄せの構想は、見事というしかありません。
改めて藤井二冠の強さを実感することができました。
頑張れ!!藤井2冠
宿題図の解答から
【再掲宿題図】
【宿題図解答】
75桂(図)
正解は75桂です。
これで67金以下の詰めろとなり、75同馬としても、67金88玉77金打以下の詰めろがほどけません。
33馬には42銀と受けて大丈夫です。
新しいテーマは居飛穴対四間飛車
さて新しいテーマですが、今回は居飛車穴熊対四間飛車の将棋から2問出題したいと思います。
【基本図】
この将棋は上図から闘いが始まりました。
基本図から24歩、同歩、36歩、同歩、24飛と進み、居飛穴側は固さを頼りに飛車をブッツケます。
先手は角が飛び出して馬を作れる形になりますが、後手の62角は攻めに働いていません。
しかしその分玉が固いとも言えます。
【第1問】
進んで下図。
後手の手を当ててください。
58成桂を急ぎたい局面ですが、先手は43成桂ではなく52馬ときます。
これで次に43成桂を狙われると厳しくなってきます。
この攻めを緩和する歩の突き捨てがあります。
【第1問解答】
55歩(図)
正解は55歩です。
この手は5筋の歩を切り、51歩の余地を作ろうという手です。
52馬にも56歩の取り込みの方が早く、同金しかないので51歩の受けが効きます。
実戦は11飛成と緩んだので、58成桂と攻め合いました。
【宿題図】
進んで下図。
ここですぐ79成桂は、同金でかえって受ける空間ができて損になります。
79の銀は詰んでいるので、慌てて取る必要はないのです。
ここは穴熊の急所、端(9筋)に目を向けたいところです。
「2段ロケット」と言えばもうお分かりでしょう。
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