さすがの好手☗74歩で銀の退路を封鎖|村山七段戦
目次
今回は
第79期順位戦B級2組6回戦
より取材しました。
この将棋は横歩取りとなり、中盤のねじり合いが続いて第1図に至ります。
今、☗56歩と角の圧迫を見せられて、☖64歩と突いた局面です。
ここで優勢を決定づける好手が出ました。
☗74歩(第2図)です。
次に☗85歩の銀の捕獲を見せた銀挟みの手筋です。
これで適当な受けがありません。
☖94歩と☗85歩に☖95銀を見せても、☗96歩としておいて、次に☗85歩☖93銀☗55歩☖63角☗75金を狙われて困ります。
結局☖76歩と攻め合ったのですが、これには☗同金が気持ちのいい手です。
☖同角☗84飛となっては先手は奇麗に捌け、次に☗73歩成☖同桂☗74歩を見られては、先手がハッキリ優勢となりました。
以下☖63金打と受けましたが、大事な駒を受け一方に手放すようでは後手が、苦しくなりました。
局面が進んで第3図。
ここで軽い手筋の決め手がありました。
☗73歩成☖同桂☗74銀の3手一組の手順です。
急所の守りの金と攻めの銀が換わる形となり、以下☖同金☗同飛で適当な受けがなく、後手村山七段の投了となりました。
この将棋は藤井二冠にこれといった派手な手は出ませんでしたが、地味にポイントを積み重ねる指し方も見事なものです。
名人に向けて着実な一歩を刻みました。
前回宿題の解答
【再掲宿題図】
【宿題図解答】
☖92香打(図)
正解は☖92香打です。
先手は☗53成桂☖同金☗54香と攻め合いましたが、
☖96歩☗同歩☖同香☗同香☖同香☗97歩に☗同香成が効くのが☖79成桂保留の効果です。
以下☗98歩の受けに、このタイミングで☖79成桂とし、☗同銀☖87成香と進み後手の優勢がハッキリしました。
ぜひ盤に並べて、☖92香打の厳しさを検証してください。
新しいテーマ
【第1問】
先手急戦45歩早仕掛けvs後手四間飛車の一変化です。
局面は下が後手ですが、今指された手を「☗33同玉」として取り扱います。
後手は飛車取りがかかっていて忙しい局面です。
一見ピンチに見えますが、ここで起死回生の捨て駒があります。
☖45桂を伏線にした飛車取りを許さない厳しい手です。
少し難しい手ですので、解答を見て手の厳しさを味わっていただいても結構です。
【第1問解答】
☖54銀(図)
正解は☖54銀です。
この手の意味は☗66竜なら☖45桂とし、
☗32玉☖33歩☗同金☖53銀不成☗同金☖同桂成で先手陣への食いつきに成功します。
結局☗54同銀よりありませんが、そこで☖64飛が継続する好手。
実戦は☗53歩と受けましたが、☖66角の王手竜取りが実現します。
以下☗同竜☖同飛となった局面は、後手銀損ながら玉が固く、先手の手掛かりの竜が消えてしまったこと。
また☗33玉が不安定で一手受けの手が必要なこと、等を考え合わせると後手互角以上の闘いといえるでしょう。
この手順も盤に並べて堪能してみてください。
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力のこもった底歩、金取り催促で安全勝ち|広瀬八段戦
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今回、藤井二冠の対局に取材し、私が主観的に選んだ「この一手」をご紹介したいと思います。
第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦
第1図をご覧ください。
【第1図】
今、後手藤井二冠が48角とした局面です。
この48角は読みの入った手で、47金と寄られると広瀬陣だけ見ていては、続く手がパッと見当たりません。
しかし金があれば詰みであることに着目し、局面を広く見渡せば絶好の手があったのです。
私が選んだ今回のこの一手は攻防の71歩(第2図)です。
【第2図】
金が逃げるわけにいきません。
しかも金取りを避ける同角成は、眠っていた21の飛車が角と変わる形となり、指しきれません。
結局54桂と攻め合うしかないようです。
しかし72歩と金を取って、先手玉は詰めろ、後手玉は詰まず藤井二冠の勝勢がハッキリしました。
以下89銀と受けましたが、この手で68玉の早逃げは、そのとき先に48角を利かしたのが生きて、58銀と詰めろを継続することができるのです。
48角から71歩の一連の寄せの構想は、見事というしかありません。
改めて藤井二冠の強さを実感することができました。
頑張れ!!藤井2冠
宿題図の解答から
【再掲宿題図】
【宿題図解答】
75桂(図)
正解は75桂です。
これで67金以下の詰めろとなり、75同馬としても、67金88玉77金打以下の詰めろがほどけません。
33馬には42銀と受けて大丈夫です。
新しいテーマは居飛穴対四間飛車
さて新しいテーマですが、今回は居飛車穴熊対四間飛車の将棋から2問出題したいと思います。
【基本図】
この将棋は上図から闘いが始まりました。
基本図から24歩、同歩、36歩、同歩、24飛と進み、居飛穴側は固さを頼りに飛車をブッツケます。
先手は角が飛び出して馬を作れる形になりますが、後手の62角は攻めに働いていません。
しかしその分玉が固いとも言えます。
【第1問】
進んで下図。
後手の手を当ててください。
58成桂を急ぎたい局面ですが、先手は43成桂ではなく52馬ときます。
これで次に43成桂を狙われると厳しくなってきます。
この攻めを緩和する歩の突き捨てがあります。
【第1問解答】
55歩(図)
正解は55歩です。
この手は5筋の歩を切り、51歩の余地を作ろうという手です。
52馬にも56歩の取り込みの方が早く、同金しかないので51歩の受けが効きます。
実戦は11飛成と緩んだので、58成桂と攻め合いました。
【宿題図】
進んで下図。
ここですぐ79成桂は、同金でかえって受ける空間ができて損になります。
79の銀は詰んでいるので、慌てて取る必要はないのです。
ここは穴熊の急所、端(9筋)に目を向けたいところです。
「2段ロケット」と言えばもうお分かりでしょう。
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エリザベス女王杯を大胆に斬る
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冒頭になりますが、私は騎手では藤田菜七子さんのファンです。
競馬界唯一の女性騎手として頑張られており、先日JRA初重賞制覇も達成されました。
またモデルとしても通用するような、端麗な容姿にめぐまれています。
しかしノーメイクで臨む騎乗姿には、ひたむきに競馬に懸ける真剣さうかがい知れます。
そんな競馬一筋の菜七子さんの
「藤田菜七子2021年カレンダー」
が発売されました。
よろしければ購入をご検討ください。
エリザベス女王杯はG1馬3頭
少し気が早いですが、来週のエリザベス女王杯を展望したいと思います。
紛らわしい紐候補の有力馬はひしめいてますが、ここは敢えてそれらを切り捨て、G1馬3頭に絞りたいと思います。
何か伏兵が絡むとは思いますが、この3頭の中から2頭が絡む可能性は高いと思います。
なお、8日のアルゼンチン共和国杯の結果を見ると、馬場の内側が相当荒れているようです。
実際、馬場のいいところを通った馬が上位を占めました。
枠順が確定したら、この要素を加味して3頭の優劣をつけるのもありかと思います。
ノームコア
ヴィクトリアマイルの勝ち馬で、直近も札幌記念でラッキーライラックを負かしています。
ローテーションもゆったりしていて好感がもてます。
ただ、この馬の引っかかる点が一つあります。
2200~2400mの距離での実績に乏しい点です。
勝ち鞍がマイルに集中しているところをみても、得意の距離守備範囲は2000mまでだったりするかもしれません。
しかし有力でしょう。
ラブズオンリーユー
この馬の格からすれば、鳴尾記念を使ったのは余計だったような気がします。
しかし府中牝馬ステークスは重馬場だったので、参考外とみることができると思います。
この馬の買い材料は、4歳秋にしてキャリアがあまり多くないことです。
馬が消耗していないので、馬体に張りがあり新鮮な印象を受けます。
巻き返しは十分あり得ると思います。
G1実績馬侮り難しです。
ラッキーライラック
札幌記念でノームコアに敗れてはいますが、同様の余裕ローテーションで良い出だしだと思います。
また、この馬はパドックで入れ込まない程度に溌溂としているときの方が、成績が良いように感じます。
パドックをチェックされる方は、この点に注目されてみてはいかがでしょうか。
2冠馬、有力でしょう。
馬取り控えの桂と陣形を乱す手裏剣の歩で総仕上げ
冒頭になりますが、私は藤井聡太さんのファンです。
昨今の目覚ましい活躍は皆さんの記憶に新しいと思います。
藤井さんの将棋には、当然こう指すだろうと見られる局面で、読みを外してくる印象があります。
また見える手を早めに指して、局面を限定的にしていく特徴を感じます
そんな藤井聡太さん推薦の本。
「将棋が強くなる実戦1手詰」
は初心者に最適の本だと思います。
ぜひお読みください。
いよいよこの将棋も大詰めです。
では前回の宿題図の解答から。
【再掲宿題図】
【宿題図解答】
63桂(図)
正解は63桂です。
この問題は分かりやすかったのではないでしょうか。
急所の馬を攻めつつの詰めろなので、攻防の意味もあります。
66馬と逃げるよりありませんが、この図を第1問としたいと思います。
【第1問】
詰めろの継続のためには、相手の急所の守り駒を攻めるのが常道です。
節約して詰めろをかける次の一手は?
もうお分かりですね。
【第1問解答】
76歩(図)
正解は76歩です。
同馬は同角成、同玉(同金は78銀)、58角が厳しく、この手で実質受けなしです。
しかし後手は78金と抵抗してきました。
同と、同玉となった局面で鮮やかな決め手があるので、宿題図としたいと思います。
【宿題図】
ノーヒントで当てられれば、気持ちいいと思いますので、そうしたい方は下のヒントを見ないでください。
遊び駒を活用して、包むように寄せよです。
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アルゼンチン共和国杯有力馬論評
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G1ではありませんが、アルゼンチン共和国杯出走馬に関する印象を述べたいと思います。
例年、有馬記念を占うステップレースとして、重要な試金石となるレースです。
なおこの見解は、JRAホームページの出馬表を基にして導いた、私的な印象であることをお断りしておきます。
印象ですので印を打つような、順位付けをするものではありません。
大混戦のアルゼンチン共和国杯
出馬表を見て、今年のアルゼンチン共和国杯は抜けた馬がおらず、大変難しい大混戦のレースになったなという印象を受けました。
出走頭数も18頭、有力馬が休み明けだったりして、訳が分からないというのが率直なところです。
苦しいところではありますが、中でも私の気に入った5頭に絞って、印象を述べたいと思います。
ユーキャンスマイル
力は上位でしょう。
実績も申し分ありません。
加えて大崩れしないのもこの馬の魅力です。
5歳の割には大事に使われていて、キャリアが極端に多くないのも良いです。
ただネックは長期の休み明けであること。
しかしこの馬の実績をみると、休み明けで好成績を上げており、それほど苦にするタイプではないようです。
当日の場体重が極端に増えていなければ有力でしょう。
トーセンカンビーナ
実績はかなり上位でしょう。
天皇賞5着が光ります。
4歳と若さも魅力です。
ローテーションが良く、変わり身が期待できるかもしれません。
ただ、印象的には入着級といった感じです。
メイショウテンゲン
実績はかなり上位でしょう。
3歳時のG1挑戦は力及ばずといった感じですが、4歳になって馬が成長したのではないでしょうか。
宝塚記念以来というのは、春の使われ方を考えると、程よいローテーションのように感じます。
有力でしょう。
サトノルークス
菊花賞2着が光ります。
成績全般を見ると、距離が伸びて良さそうな印象ですので、2500mは望むところでしょう。
直近は大敗していますが、2000mはこの馬には短すぎたかもしれません。
ローテーションも申し分なく、変わり身が期待できるかもしれません。
オーソリティ
唯一の3歳馬ではありますが、成績も奇麗なので人気の一角を占めるでしょう。
しかし青葉賞1着のあとダービーに出ていないのが気になります。
脚部不安を発症したのでしょうか。
一生に一度の晴れ舞台の出走権を得ながら出られなかったのは、少なくとも何か事情があったものと推察されます。
以上の理由で、当日極端に馬体重が増えているようなら、割引かなと思います。
直近好成績のサンレイポケットは、使い詰めで2500メートル限界の印象が強く、敢えて除外しました。