The 対局心理~山あり谷ありの人生の中で繰り広げられる盤上のドラマとは
将棋はルールを知らない方にとっては、難しいものだと思います。
そこで全く知らない方にも将棋に親しんでいただければと思い、将棋を指す人の心理を題材に寸劇をイメージしてみました。
<商品のご紹介>
「藤井聡太 強さの本質」書籍編集部編
藤井二冠の強さに迫る本書。藤井二冠は昨年の王位戦で一見級位者が指すような平凡な受けの手を指し、今や人を上回る強さを誇るソフトからも酷評されました。しかしソフトの読む奥行きを数億手に増やすと、彼の指した手が最善手として浮かび上がるという分析結果が出ました。この事実は計り知れない彼の強さの一端を物語るものだと思います。そんな藤井二冠の強さの本質が綴られた本書をお読みになって、さらに彼の強さの深淵に触れてください。
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以下の設定を念頭にお読みください。
対局者A
怒り人・・・気の短い人、家庭のドタバタで晩飯と朝飯を食い損なってイラついている
対局者B
いい人・・・気は小さいが根は前向きな人、恋人にふられて落ち込んでいる
対局開始
「お願いします」
将棋は礼に始まり礼に終わります。
先手いい人。
なかなか指さない。
怒り人。
「おっ(# ゚Д゚)」
『・・・いおい最初から長考か?冗談じゃねえよ!!』
「 おっ」の発声とともに怖い顔で睨まれたいい人は、縮み上がってしまった。
さらに10分考え、いい人はやっと初手を指す。
怒り人。
『 ざけんじゃねえよ!』
「 グ・・グゥ〜〜」
『は・・ハラがなりやがる。
きしょー、こいつめ。これでもくらえ!』
怒り人は長考のお返しをする。
いい人は待たされて、ふられた彼女のことが頭にもたげてくる。
『 うう・・(T_T)』
怒り人。
『な・・みだ?
泣き落としか?
ええい、こちとら長考が苦手なんだ。これでどうだ!』
20分後、やっと2手目が指された。
予想外のスローな出だしとなったが、やがて局面は煮詰まり、開戦の潮時を迎えた。
いい人。
『ああ景子さん・・ぼくはなぜあの時、あんなことを言ってしまったのだろう・・うう』
怒り人。
『 何でえ、辛気臭い顔しやがって。はやく飯が食いてえ。さっさと終わらせるか』
闘いの火ぶたが切って落とされ、駒と駒がぶつかる。
「 ひっ!(+o+)」
いい人が悲鳴を漏らす。
怒り人。
『なっ!
なんだ、こいつ。脅かしやがる』
いい人。
『怖いー!、景子さーん!!』
いい人は相変わらずの縮み上がりっぷりで、一方的に押し捲られたが、全部の守りゴマを自陣に張りまくって耐えた。
怒り人。
『 こいつ、しぶてえな』
「 グゥ〜〜」
『は・・ハラが・・
おっといけねえ、もう時間がねえ。ええーい、こいつでどうだ!!』
いい人の顔色が変わった。
「 ん?」
様子が変なので怒り人は局面をよく見渡してみた。
「 げっ!( ゚Д゚)」
よくよく見ると打ったコマは意図したマス目の隣にあり、とんでもない緩い手となっていた。
つまりパスしてしまったのと同じだった。
怒り人。
「 し、しまっ・・(≧◇≦)」
怒り人はそう叫びかけて、慌てて口を覆った。
『・・ったあー!!』
いい人。
『 き、希望が・・(*^▽^*)。
幸せのひと時をありがとう、景子さん。ぼくは頑張ります』
それからいい人の大反撃が始まった。
怒り人。
「くっ・・(*_*;」
『・・ぅ~~
いけねえ。守りが薄くてもたねえ。』
いい人。
『 このままいけば勝てるかも・・』
「ドキドキ ドキドキドキドキ」
『うう・・心臓が・・。こんな気持ち嫌や。早く終わらせたい』
いい人は焦りまくった。
やがてあと一手で詰む局面を迎えた。
怒り人。
『詰みか・・。
こんな奴に負けるのか?』
『情けねえ・・やけ食いしかねえか』
いい人。
『これで詰みや』
駒が打ち下ろされ終局したかに見えた。
怒り人は負けを認めようとした。
「 負けま・・」
「 ん?」
あらためてマジマジと放たれた駒を見ると、金で詰みだと思っていたら桂馬だった。
怒り人。
「 なにー!!??」
と驚いている暇はない。
既に秒読みなのだ。
咄嗟に駒を打ったが、角の利きをウッカリした。
タダだ。
しかしいい人も既に顔面は蒼白で、冷静な判断力はない。
将棋は泥沼化していった。
怒り人。
『 ハアハア・・・わ、訳がわからねえ・・』
『こいつめ、ほ・・ほんとにしぶてえ奴だ・・』
「グ、グゥ~~~」
『ダ、ダメだ・・・もうハラが減って死にそうだ・・』
いい人。
『 これは景子さんにあんなことを言ってしまった僕に与えられた試練だ。
耐えます。耐えてみせます』
そして怒り人に、何度目かの相手を詰ますチャンスが巡ってきた。
だが読み切れない。
時間がない。
「 そうか、こうすれば」
「 いかん」
「 ビーーー」
「 バシ」
0.5秒遅かった。
非情の時間切れブザーがなり勝負はついた。
「おまえ、ほんとにしぶといな」
つまみの刺身をつつきながら、腹が落ち着いて怒りが収まった怒り人が言う。
「いえいえあなたの迫力には負けますよ」
といい人。
勝負が終わり、二人は居酒屋で盃を傾けていた。
「そうかい。ともかく勝負が終わればノーサイドだ。
さあー、改めて乾杯」
「かんぱーい!!」
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