米長玉VS四間飛車戦の序盤解説と次の一手7選
皆さん、こんにちは! 将棋大好きマサ公です😊
今回は米長玉VS四間飛車の実戦から序盤の駒組のポイントの解説と、中終盤の次の一手を出題していきたいと思います。
米長玉は故米長永世棋聖が考案した有名な指し方で、戦法というよりも居飛車対振り飛車戦における左美濃作戦の一変化です。
王の位置がその特徴で、先手ならば☗98王、後手ならば☖12王の形を定位置とします。
今日は対振り飛車戦における左美濃定跡、通称「米長玉」を掘り下げてみたいと思います。
さっそく見ていきましょう。
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詳しくは下記記事をご覧ください。
第1章 序盤の駒組
第1章では米長玉VS四間飛車をテーマに、序盤の進行を一手ずつ解説していきたいと思います。
なかでも序盤のポイントの手は、特に詳細に触れていきます。
第1章は初心者の方の参考になると思いますので、重点的に読み進めてみてください。
将棋のルールについては下記記事をご覧ください。
将棋の初手と棋譜の見方については下記記事をご覧ください。
1. 振り飛車の出だしのポイント☖44歩
開始局面からの指し手
☗76歩☖34歩☗26歩☖44歩 (第1図)
第1図
後手が振り飛車を目指す場合の、出だしのポイントの手が☖44歩で、角交換を避けます。
2. 四間飛車
第1図以下の指し手
☗48銀☖32銀☗56歩☖42飛(第2図)
第2図
先手は☗48銀と攻めの銀の活用を目指します。
後手も同じ意味で左の銀を☖32銀と上がります。
☗56歩は銀の出口を作った手です。
そして後手は☖42飛と四間飛車の意思表示をします。
3. 玉の囲い合い
第2図以下の指し手
☗68王☖62王☗78王☖72王(第3図)
第3図
飛車の位置が決まったら、次は王の囲い合いです。
「居玉は避けよ」という格言があり、王を囲い合うのは序盤の大切なミッションです。
4. 先手持久戦の意思表示
第3図からの指して
☗58金右☖82王☗96歩☖94歩☗57銀(第4図)
第4図
先手は☗58金右と右の金を王に寄せます。
後手は☖82王と深い囲いを目指します。
9筋の端の突き合いは、王が端に逃げていったときの懐を広げ合った手です。
そして先手は☗57銀と持久戦の意思表示をします。
先手の手だけ示すと、☗68銀~☗57銀左の形もあり、この作戦は急戦となります。
5. 先手も王を深く囲う準備
第4図以下の指し手
☖43銀☗77角☖52金左☗88銀 (第5図)
第5図
後手の☖43銀は上部に備えた手です。
先手も☗77角と王を深く囲う準備です。
☖52金左は、まだ態度を保留して☖72銀と美濃囲いにする手と、☖92香以下穴熊囲いにする手の両方を含みにした手です。
☗88銀の意味は、棋譜の進行のとおり「銀冠(ぎんかんむり)」と呼ばれる堅い囲いを目指したものです。
6. 着々と駒組みが進行
第5図以下の指し手
☖64歩☗86歩☖74歩☗87銀(第6図)
第6図
☖64歩は、囲いの進展と将来の☖65歩の攻撃を見せた手です。
先手は☗86歩と銀冠を目指します。
後手の☖74歩は、☖73桂とはねる余地を作り攻撃を目指した手です。
先手は☗87銀と着々と囲いの進展を目指します。
7. 後手は美濃囲いの第一段階を完成
第6図以下の指し手
☖73桂☗66歩☖72銀(第7図)
第7図
後手は☖73桂と桂馬が出動して、次に☖65桂の両取りを狙います。
先手は☗66歩とその手を防ぎつつ、さらなる囲いの進展を目指します。
そして後手は☖72銀とついに美濃囲いの第一段階を完成させます。
8. 後手角道を開ける
第7図以下の指し手
☗88王☖45歩(第8図)
第8図
先手は☗88王と王を深く囲います。
これに対して後手は☖45歩と、各道を開けてきたるべき開戦に備えます。
参考
以下はやや難しめな内容なので、初心者の方は読み飛ばしていただいて結構です。
この☖45歩は今がタイミングと言えます。
☖63金左☗78金を交換してからの☖45歩だと、☗25歩☖33角☗24歩☖同歩☗65歩☖44銀☗64歩☖同金(参考1図動画)と決戦される恐れがあります。
参考1図動画
先手は☗24と突き捨て、飛車先を軽くしてから☗65歩と決戦します。
角交換は、後に☗24飛を許し飛車先を突破されてしまうので、☖44銀と交換を拒否します。
しかし☗64歩と取り込まれて、☖同金となった形は金の形が良くありません。
☗65歩の決戦ができるのも、☗78金と囲いが完成しているからです。
その点☗69金型で☖45歩と突けば、先手はまだ囲いが弱く決戦がしにくいのです。
ゆえにこの瞬間が、☖45歩と角道を開けるタイミングと言えるのです。
9. 飛車先は角で備える
第8図以下の指し手
☗25歩☖33角(第9図)
第9図
先手は☗25歩と飛車先の歩を進めます。
つぎに☗24歩とされてはいけませんが、ここで☖33角が大事な手です。
振り飛車を指しこなすには、☗25歩にはワンセットで☖33角とするもの、と覚えてください。
それでも☗24歩ときたら、☖同歩と応じておいて飛車先を破られる事はありません。
10. 四間飛車棒銀に備える
第9図以下の指し手
☗78金☖44銀☗36歩(第10図)
第10図
先手は☗78金と締まり、次に☗67金右とできれば銀冠の完成です。
ここが一つのポイントです。
次に後手に簡単に☖35銀を許してはいけません。
四間飛車棒銀に限らず、棒銀側に簡単に銀の五段目への進出を許すと、作戦的に損をすることが多いのです。
そこで先手は☗36歩と☖35銀を防ぎつつ、☗37桂の活用を目指します。
11. 居飛車の税金
第10図以下の指し手
☖54歩☗67金右☖84歩☗16歩(第11図)
第11図
後手は☖54歩と、場合による☖55歩の開戦を狙います。
先手は予定通り、☗67金右と銀冠を完成させます。
後手は☖84歩と囲いの進展を目指しつつ、場合による☖85歩の攻撃を狙います。
これに対して、先手が☗16歩と突いた手は「居飛車の税金」と言われます。
☗37桂と跳ねるためには、何かの時に☖15角と出られる手が嫌味なのです。
その手をあらかじめ防ぐ☗16歩ですが、この手が一見余計な手を強いられているように見えるので、「税金」と表現されるのです。
☖14歩と端歩を突き合う手を省略して、他の有効な手を後手に指されると、☗16歩が緩い手となってしまう恐れがあるのです。
12. ついに本題の米長玉登場
第11図以下の指し手
☖63金左☗98王(第12図)
第12図
後手は☖63金左と、さらに囲いの進展を目指してきます。
ここでついに本題の米長玉が登場します。
先手が☗98王とした手がそれです。
この端玉が米長玉で、この手は
- ☖33角の角筋から王の位置を逸らす
- 王が端にいる分だけ、横からの攻めに対して一路遠い
という意味を持ちます。
ただ王が端に寄る関係上、将来、端から攻められることは覚悟する必要があります。
故米長邦夫永世棋聖は、この手がでると必ず勝てる、ゲンのいい一手とおっしゃられていました。
その後、米長玉は一つの定跡となり、一時期プロアマ問わず多用されました。
13. 双方の駒組みが完成そして開戦
第12図以下の指し手
☖83銀☗37桂☖72金☗29飛☖35歩(第13図)
第13図
☖83銀と後手も銀冠を目指します。
先手は☗37桂と右の桂馬を活用します。
後手は☖72金と銀冠を完成させます。
先手の☗29飛は、将来☖37歩成とされた手が飛車取りにならないように、未然に当たりを避けつつ手待ちした手です。
そして駒組みがほぼ頂点に達したので、☖35歩と後手から開戦してきます。
ここまでで序盤が終わり、ついに中盤戦に突入します。
第2章 中終盤次の一手
第2章では、次の一手形式で中終盤を解説します。
初心者の方には少し難しくなりますので、読み流していただいて何となくイメージを掴んでください。
答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。
腕に自信のある方は、ヒントを見ずに問題を考えてみて、後からヒントを見る順番をお勧めします。
第1問 開戦は歩の突き捨てから
序盤編の最終手☖35歩以下、☗同歩☖同銀と進行して上図となります。
「開戦は歩の突き捨てから」と言われ、ここは先手も歩を突き捨てるタイミングです。
☗25歩がいたままでは飛車先が重いですね。
突き捨てて軽くしましょう。
第1問解答
☗24歩
正解は☗24歩です。
☗25歩がいたままでは飛車先が重いので、あらかじめ突き捨ててしまうのが開戦の常道です。
これに対して何で取るかですが、
- ☖同角は☗65歩と突いた手が、香車取りになるのでやりにくいでしょう。
- ☖同銀は☖46歩の攻めを狙っていたのに、☖24銀の形は銀が遊んでしまいます。加えて銀が再び動くと、23に飛車に成られてしまう形になっています。具体的には☗26飛と、桂頭攻めに備えられているくらいで、後手が少し不満でしょう。
したがって☖同歩が自然です。
第2問 駒損覚悟のサバキ
上図は前問の☖24同歩以下、☗34歩☖22角と進んだ局面です。
先手は歩切れで一見手が難しそうですが、ここで駒損覚悟の大サバキに打って出る手があります。
☖35銀が動けば、☗24飛と走ることができますね。
それを実現するために、まずは取られそうな〇を捨てます。
歩切れを解消する意味もあります。
お考えください。
第2問解答(動画)
☗45桂
正解は☗45桂です。
歩切れを解消しつつ桂馬を捨てます。
これには☖同飛と取るしかありませんが、そこで☗46銀とブツケルのが、☖35銀の移動を願う手荒なサバキです。
☖同銀☗同歩☖同飛と進むしかありませんが、そこで☗24飛と走っていい勝負です。
この後☖44角が予想され、☗21飛成と桂馬を取り返しながら一歩先に飛車が成りこんで、先手にこれといった不満はありません。
第3問 相手の駒の働きを封じる
上図は後手が、33にいた角を☖24角と逃がしつつ、先手陣の急所に利かせてきたところです。
このまま☖24角に威張られると、先手の☗77角がまだ攻めに働いておらず、角の働きの差が出そうです。
そこで後手の角を封じれば良いのではないか、という着想がこの局面での正解です。
封じるためには、☗32竜の利きと持ち歩を活かします。
お考えください。
第3問解答
☗35歩
正解は☗35歩です。
これで後手の角の利きを封じることができます。
将棋ではこのように、相手の大駒の利きを封じる手が、有効な手となる場合がよくあります。
一見地味な手ですが、丁寧な手だとも言えます。
雑な手を指すよりも、丁寧な手の積み重ねの方が、良い結果を招くことが多いのです。
第4問 拠点を先手で作る
上図は☗95歩の銀取りに対して、後手が☖69銀と強気に攻め合ってきた局面です。
とっさに金を逃げる一手と判断してしまいそうですが、ここは先手が後手陣に拠点を残すチャンスです。
攻めるとしたら、☖69銀のスピードに勝てる手は王手しかないですね。
☗94歩の取り込みを先手にします。
お考え下さい。
第4問解答
☗93銀
正解は☗93銀です。
この王手に対して王が逃げるのでは、☗93銀が拠点として残ります。
☖同玉の一手ですが☗94歩と取り込んで、歩を取る手はあまりにも不安定なので☖82王と進みます。
そこで☗88金と逃げておけば、駒の損得なしに先手で☗94歩の拠点ができたことになります。
☗93銀のような手は実戦でよく現れますので、こういった手筋があることを学んでください。
第5問 受けの拠点を作る〇打ち
上図は後手が☖48竜と竜を二段目に利かせてきたところです。
このまま無条件に☖88銀成☗同角☖同竜☗同玉☖79角とされてはいけないので、受ける必要があります。
ヒントは、受けの拠点を先手で作る〇打ちです。
その手は受け一方ではなく、チャンスが巡ってくれば攻撃にも役立つ位置に打ちます。
一瞬、両取りにもなっています。
お考え下さい。
第5問解答
☗57角
正解は☗57角です。
この手は一応両取りなので、☖88銀成☗同角までは必然ですが、このとき☗57角が79の地点を守っています。
竜を逃げるよりありませんが、☖58竜は☗68金、☖38竜には☗22竜(詰めろ)と攻め合って充分です。
後手の竜が4筋からずれたので、☖42歩の受けが効かないのです。
また竜が二段目から逸れるのであれば、先手の王が安全になります。
☗57角は将来☗65歩とつけば、9筋方面の攻めに使えてきますし、☗88角が成り込める余地もでてきます。
あとで手に困らないので☗57角は受け一方の手ではないのです。
第6問 攻めをつなげる英断
上図は先手の優勢がハッキリしてきた局面で、ここで攻めをつなぐことができれば、さらに前進することができます。
一見☗63金と打ちこみたくなりますが、後手は金を持っていますので、☗52金打と千日手模様に粘られてしまいます。
63に打ちこむ駒が、桂馬だったらどうでしょうか。
金で取るしかありませんね。
その桂馬が落ちています。
見出しにも書いた英断の〇切りです。
お考えください。
第6問解答
☗73角成
正解は☗73角成です。
☗61竜では攻めの大元を失いますので、桂馬を入手する手段は☗73角成しかありません。
大駒を切るので勇気のいる手ですが、この馬を何でとっても次の☗63桂が厳しくなります。
初心者向けに解説しますと、
- ☖73同金直は、☗63桂に☖72王と逃げると☗71金で詰み。
- ☖73同金左も、☗63桂に☖62王と逃げると☗51竜で詰み。
- ☖73同桂右も、☗63桂に☖81王と逃げると☗92金で詰み。
結局実戦は☖73同金直としましたが、☗63桂がはいり☖同金寄☗同歩成☖同金の形が実現したのです。
「終盤は駒の損得より速度」と言われます。
このように終盤は駒損をしても、王を追い詰める速度の方が大事なのです。
第7問 〇の行き場所を聞く
上図は☗52金の詰めろに対して、☖41歩と受けたところです。
ここで☗51馬と詰めろを継続する手は、☖88竜と反撃されて詰みですし、☗51金打は☖62金打と粘られます。
ここで決め手があります。
今、後手の大事な駒である〇の位置は、攻防に利く一番良い位置となっています。
〇は縦にズレても横にズレても働きが半減するのです。
〇の位置の移動を願って△を打って動向を打診します。
お考えください。
第7問解答
☗49歩
正解は☗49歩です。
この竜取りに後手がどう応じても、竜は最善の位置から逸れることになります。
最善の位置を逸れる手は、事実上パスしたのと同じになり、この切迫した終盤では指すことができません。
実戦では後手は仕方なく☖93桂としましたが、先手は☗48歩とおいしく竜を召し取って、先手の勝ちが決まりました。
まとめ
今日は先手米長玉対四間飛車の実戦の一連の流れを追ってみました。
第1章序盤の駒組み編のポイント
を整理すると
第2章中終盤次の一手編のポイント
を整理すると
- 開戦は歩の突き捨てから
- 中盤は一瞬駒損をしても大駒のサバキを重視する
- 大駒の利きを封じる手が、良い手になることが多い
- 終盤は駒の損得より速度
- 最善の竜の利きを逸らす底歩
となります。
いかがでしたでしょうか。
初心者の方は、序盤の駒組み編だけ覚えていただければ、将棋というゲームのだいたいのイメージを掴むことができると思います。
中終盤次の一手編は、答えが分かりやすいヒントを書いたつもりですので、解けたら気分爽快で済ましていただければ充分です。
「将棋ってこんな流れなんだ」
ということを感じてください。
お読みいただきありがとうございました。
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詰将棋のルール解説と簡単1手・3手詰み問題10選
こんにちは! 将棋大好きマサ公です😊
今回のテーマは詰将棋です。
第1章では詰将棋のルールについて詳しく解説しています。
詰将棋には少し分かりにくいルールがありますが 、私の場合は解いているうちに次第に慣れていきました。
第2・3章では超初心者の方向けに1手・3手詰みの詰将棋を出題します。
詰将棋とは相手の王様を詰ますことを目的とした問題のことです。
慣れてくればサクサク解けて気分爽快、気持ち良いこと疑いなしです。
さっそく見ていきましょう。
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第1章 詰将棋のルール
本章のポイント
- 王を詰ますことが目的
- 攻め方(先手)は王手の連続で攻める
- 王方(後手)は一番手数が長くなるように逃げる
- 残りの駒は全部王方の駒となり合駒に使用できる
- 無駄な合駒は禁止
- 持ち駒を使い切る
- その他は通常の将棋のルールと同じ
1. 王を詰ますことが目的
詰将棋は王を詰ますことが目的です。
2. 王手の連続で攻める
例えば3手詰みの手の流れを説明しますと、
- 1手目(先手)・・・王手「王を取るぞ」
- 2手目(後手)・・・王手された駒を取る、王が逃げる、または合駒(第1図参照)をする
- 3手目(先手)・・・王手で詰み
このように3手以上の詰将棋では、先手は王手を連続していきます。
第1図
3. 王方は最長手順で逃げる
例えば5手詰みの場合、3手目で詰んでしまう手順は正解ではありません。
4. 残りの駒は全部王方の駒
盤上の駒と攻め方の持ち駒以外は、全部王方の持ち駒となります。
持ち駒は合駒として使用できます。
5. 無駄な合駒は禁止
第2図をご覧ください。
第2図
第2図は竜による王手がかかっていますが、21に何を合い駒しても☗同歩成または☗同竜と取られてしまい、詰みはほどけません。
21に合駒する手を無駄な合駒といいます。
詰将棋では第2図の時点が詰み上がり図となります。
6. 持ち駒を使い切る
詰将棋では持ち駒を使い切らなければなりません。
持ち駒が余って詰んだ場合は正解の手順ではないということになります。
7. その他は通常の将棋のルールと同じ
将棋のルールについては下記記事をご覧ください。
棋譜の見方については下記記事をご覧ください。
第2章 出題 (1手詰み)
第1問 頭金
詰将棋は2枚以上の駒の協力で詰むことがほとんどです。
上図で、と金で王手する手は駒の協力がなく王で取られてしまいます。
持ち駒の金との協力で詰むのですが、どこに打てばいいでしょう。
ヒントは「頭金」です。
第1問解答
☗22金
王の頭に打つ☗22金が正解となります。
王様がどこへ逃げても金に取られてしまいますし、金を取るとと金に取り返されてしまいます。
詰将棋の超基本的な手筋(よくある形)ですので、「頭金」の言葉のイメージで覚えてください。
第2問 吊るし桂
持ち駒の打ち場所が限られています。
ノーヒントでお答えください。
第2問解答
☗43桂
正解は☗43桂です。
桂の王手から逃げる手は、すべて王様をと金に取られてしまいます。
「吊るし桂」とは、王様が桂馬の行き先にぶら下がっている感じからの命名でしょう。
第3問 コビン銀
銀を斜めに利かすことを「コビン銀」といいます。
相手の守りの金の利きをうまくかわす王手がありますね。
第3問解答
☗42銀
正解は☗42銀です。
これで王は空いているどの隙間に逃げても取られてしまいますし、銀を取ってもと金に取られてしまいます。
コビン銀の「コビン」とは漢字で「小鬢」のことで、王のコメカミ(斜め)を攻める感じからの由来でしょう。
第4問 強力な馬
持ち駒がありませんので角かと金が動くことになりますが、どちらがどこへ動けば良いでしょう。
この問題も2枚の駒の協力で詰みます。
表題「強力な馬」が大ヒントです。
第4問解答
☗22角成
正解は☗22角成です。
これで王様がどこの隙間に逃げても馬で取られてしまいますし、馬を取ってもと金で取り返されてしまいます。
☗22とは☖13王と大海に逃げ出されてしまいますので注意してください。
第5問 両王手は合駒が効かない
この問題は角が退(ど)けば香車による王手がかかることが、お分かりいただけると思います。
問題は角の退き方です。
表題の両王手とは、退いた駒によって同時に王手がかかることをいいます。
もっとも効果的な角の位置がお分かりになりましたか。
第5問解答
☗44角
正解は☗44角です。
上図をご覧ください。
まず21の歩が邪魔していますので、王が逃げる手はありません。
では香車の利きを遮る合駒をすればよいのか、ということになりますが、角によっても同時に王手がかかっていますので、合駒もできないことが分かります。
逃げられず合駒もできないのでこの形は詰みなのです。
第3章 出題(3手詰み)
第1問 下段へ落とす〇
上図は金か銀を打って迫っていくことになりますが、☗32金は☖12玉と逃げられて詰みません。
となると銀を打つしかありませんが、銀を打つ場所は限られていますね。
トドメは例によって頭〇です。
お考え下さい。
第1問解答
☗31銀☖同王☗32金(図)
銀を打つ手は☗31銀しかありませんね。
この手に☖12王は☗22金ですが、詰将棋は同じ手数ならば取れる駒は取るのを原則とします。
なので☗31銀には☖同王と応じますが、そこでトドメの頭金☗32金までです。
第2問 空き王手
上図は金が退くしか王手がありませんが、どこに退けば良いでしょうか。
詰将棋の場合、駒を欲張る手はまずハズレと思っていいでしょう。
お考え下さい。
第2問解答
☗21金☖12王☗22角成(図)
問題図で初心者の方は、まず☗11金に飛びつきたくなるのではないでしょうか。
しかしこの手は☖22桂と合駒され、このあと王手が続きません。
☗22同角成は同玉でもちろん詰みませんし、☗12金としても☖同王で後が続きません。
正解手順は☗21金と空き王手する手で、22の地点に2つの駒が利いていますので、今度は☖22桂と合駒しても☗同角成で詰みとなります。
☖22桂は無駄な間駒なので、☖12王の一手となり☗22角成までの詰み上がりです。
第3問 金の守備の無力化
本問は金の守りが強力で一見詰まなそうですが、持ち駒の桂馬を使って守りの金を無力化します。
お考え下さい。
第3問解答
☗33桂☖同金☗22金(図)
ヒントにもかきましたとおり、初手に桂馬を使う手を考えてみますと、☗13桂は☖31王と逃げられて詰みません。
では☗33桂と打つとどうなるか。
この手に☖31王とすると今度は☗41金で詰んでしまいます。
☖11王は☗12金で詰み。
結局☗33同金しかありませんが、22への金の守りがなくなったので、☗22金と頭金を打つことができます。
第4問 美濃崩しの急所
後手は手つかずの美濃囲いで一見固そうに見えますが、急所をつかれるともろくも崩れ去ってしまいます。
☗55角の利きを活かして〇とのコラボです。
第4問解答
☗34桂☖31王☗22金(図)
〇は桂馬でした。
☗34桂と打たれると☖同歩は角で王を取られてしまいますので、王を逃げるしかありません。
しかし☖12王と逃げても☗22金で詰みですし、桂馬の利きが42もにらんでいますので、☖31王も☗22金までの詰みとなります。
第5問 穴熊も飛桂銀のコラボで崩壊
この問題も後手は一見固い穴熊ですが、飛桂銀のコラボで崩壊してしまいます。
初手の王手は二通りしかありませんが、どちらが正解でしょう。
第5問解答
☗23桂☖同銀☗22銀(図)
初手は☗23桂か☗22飛成しかありませんが、☗22飛成は☖同王で手掛かりをうしなってしまうのでいけません。
☗23桂には☖同銀しかなく、そこで空いた空間に☗22銀と打って詰みです。
まとめ
今日は以下の2点について学びました。
- 詰将棋のルール
- 王を詰ますには2枚以上の駒による協力が必要なことが多い
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ああ、痛恨のワープ角|菅井七段、まさかの反則と初心者向けルール解説
ども!マサ公です😊
2018年10月、菅井七段がB級1組順位戦で橋本八段と対戦しました。
ともに1勝4敗の苦しい星勘定で双方負けられない一戦でした。
途中形勢は菅井優勢で橋本八段に比べて多くの時間を残し、菅井七段の勝ちを予測するギャラリーが多かったでしょう。
しかし決着はまさかといえるものでした。
なんと菅井七段が反則負けしてしまったのです。
68に橋本八段のと金がいて79に菅井七段の角がいる状況で、菅井七段の角は46へワープしてしまいました。
指された瞬間は双方ともに気付かず、橋本八段は一見厳しいワープ角への対応を2分近くも考えたそうです。
痛恨の反則「ワープ角」。
過去には女流のタイトル戦で一例があるだけだそうです。
本編では将棋の基本的なルールの他、その他の将棋の禁じ手についても詳しく解説しています。
「 今さらルールですか?」
と質問を受けそうですが、このサイトに初心者の方が訪問された際に参考になるように、カテゴリーの選択肢を増やしておこうと考えました。
この記事を将棋のルールの辞書代わりとして参考にしていただければ幸いに存じます。
では早速本題に入りましょう。
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詳しくは下記記事をご覧ください。
第1章 将棋の目的
本章のポイント
- 王を詰ました方の勝ち
- 決着は相手の「投了」による
- 「王手」は言わなくてよい
- 待ったなし
- 取った駒が打てる
1. 王を詰ました方の勝ち
将棋というゲームはどのようにして勝負がつくのでしょうか。
結論から申し上げましょう。
将棋は相手の王様を詰ますことを目的としています。
王様を詰ますとは次に王を取るぞという手(王手)に対して、王がどう逃げても次に取られてしまう状態のことをいいます。
後ほど王様が詰んだ状態とはどんな状況なのか、具体的な例を示しますのでここでは、「相手の王を先に取るのが将棋の目的である」ということだけ覚えてください。
2. 決着は相手の「投了」による
将棋の決着の付き方は、形勢(局面の旗色)が圧倒的に劣勢(不利)な方が、「 投了」といって
『負けました』
と負けを認めるのが一般的です。
3. 「王手」は言う必要なし
将棋は相手の王を詰ますことが目的と申し上げましたが、こっそり王手をかけたときに相手が気づかず他の手を指してしまうことがあります。
チェスではルール上、王手をかけるときに『 チェック』と言わなければなりませんが、将棋の場合は「 王手」と言わなくて良いのです。
将棋の場合は、このとき
『 王手だよ』
と指摘して勝ちを宣言してしまって構いません。
4. 待ったなし
将棋も相撲と同じで「 待ったなし」です。
一度指してしまった手はやり直しは許されません。
5. 取った駒が打てる
チェスと将棋の大きな違いであり、将棋の特徴のひとつが、取った駒を自分の味方にして「 打つ」ことができることです。
取った駒は「 持ち駒」といい、空いているマス目であれば、どこにでも自由に打つことができます(注意:後述のニ歩(縦の列に二枚目の歩を打つこと)になる場合を除く )。
第2章 将棋の初型と駒の動かし方など
本章のポイント
- 先手・後手の決め方
- 初型と定跡について
- 駒の動かし方
- 駒の動かし方(駒が成った場合)
- 飛車、角、桂馬、香車の動ける範囲
1. 先手・後手の決め方
将棋の先手(先に指す方)と後手の決め方は、振り駒で決めることが一般的です。
振り駒とは5枚の歩を手の中でかき混ぜそれを放り投げて、表(歩兵)が多ければ振った人が先手、裏(と金)が多ければ待っている人が先手に決まるというルールです。
2. 初型と定跡について
将棋は第1図の形から始まります。
第1図
駒の軌跡を追うために、将棋には棋譜というものがあります。
たとえば図の飛車の頭の「 歩」を一歩進める手は、左端から2列目、上辺から6段目の位置に歩が移動するので、「☗ 26歩」と表現します。
また将棋には 定跡というものがあります。
これは強い人たちによって数百年にわたって積み上げられた、将棋の始まり(序盤)から戦いが始まるあたり(中盤)にかけての地図みたいなものです。
また将棋の詰みにかけての段階を終盤といいます。
将棋の序盤は定跡にしたがってほぼ決まった手順で進行することが多く、中盤・終盤は対局者の実力が反映されます。
定跡の研究は今この瞬間もプロによってしのぎを削られ、常に進化しています。
3.駒の動かし方
次に駒の動かし方を説明します。
将棋には8種類の駒があります。
「 王」「 飛車」「 角」「 金」「 銀」「 桂馬」「 香車」「 歩」です
それぞれの動かし方を第2図と第3図に示します。
第2図
第3図
ひとつずつ解説していきます。
第2図の真ん中下段
王
は周りに一マスずつ全部の方向に動くことができます。
次に第2図上段右
金
後ろ斜めを除いた全ての方向に動くことができます。
次に第2図上段左
銀
左右横と真後ろを除いたすべての方向に動くことができます。
次に第2図上段真ん中
歩
前だけに一歩づつ進むことができます。
続けて第3図右から
飛車
縦と横ならば、どこまでも動くことができます。
第3図右から2番目
角
斜めの方向ならば、どこまでも動くことができます。
第3図左から3番目
桂馬
前方にひとつ飛ばしたマス目の左右に動くことができます。
桂馬に関しては分かりにくいので、第4図に再掲しておきます。
特徴的ですね。
第4図
第3図一番左
前方にだけ、どこまでも動くことができます。
4. 駒の動かし方(駒が成った場合)
将棋には駒が「 成る」というルールがあります。
「 飛車」「 角」「 銀」「 桂馬」「 香車」「 歩」は成るとそれぞれ
「 竜」「 馬」「 成銀」「 成桂」「 成香」「 と金」に出世します。
竜と馬の動きを第5図に示しました。
第5図
右から
竜
は飛車の動きプラス、各斜めの方向にひとつ進むことができます。
左の
馬
は角の動きプラス、前後左右にひとつ進むことができます。
と金、成香、成桂、成銀については第6図に示しました。
第6図
図の脚注のとおり全て金と同じ動きです。
また金は成ることができません。
駒の成り方を第7図に示しました。
第7図
成る前の駒が敵陣(青枠で囲った上辺から3段目まで)に侵入するか、敵陣に駒を打って最初に動いたとき(敵陣の外にバックした場合を含む)に、成ることができます。
図の赤の矢印が各駒が成れる場所で、緑の矢印の場所は成ることができません。
また将棋では「 成る」、「 成らない」を選択することができます。
成ってしまうと成る前の駒の性能が失われてしまいますので、成る成らないの判断が勝敗を分ける境目となることもあります。
また、成ってしまうと元に戻ることはできません。
ただし「 桂馬」「 香車」「 歩」に関しては、次に行くところがない一段目、または桂馬の場合二段目に到達したときは成るしかありません。
ちなみに将棋の棋譜の表記についてですが、53に桂馬を成らないで使う場合は「☗53桂不成(成らずと読みます)」と表します。
5.飛車、角、桂馬、 香車の動ける範囲
第8図は飛車、角、香車の動ける範囲を示したものです。
第8図
左から順に
の利きの先にはと金がいますので、動ける範囲は98から92までとなります。
93と92には成ることができます。
角
は左斜め上に93までと右斜め下に39まで。
93には成ることができます。
左斜め下は88に味方の駒がいますので、77まで。
右斜め上は33の歩を取りながらな成ることができますが、33の歩を飛び越えて22または11に進むことはできません。
飛車
も同様で、横は歩の隣までですし前は53の歩を取って成ることができますが、飛び越えることはできません。
右の香車も13に成ることはできますが、やはり飛び越えることはできません。
第9図は桂馬の進み方を示したものです。
第9図
桂馬
に限っては図にも示したとおり、敵味方の駒を飛び越えることができます。
行く先に味方の駒がいる方向(左)に進むことはできませんが、マーカーの位置(右)に進むことができ、敵の駒がいる場合は取りながら進むことができます。
第3章 詰みについて
本章のポイント
- 頭金
- 吊るし桂
- 三枚の駒の協力
詰みの典型的な形について例示します。
1. 頭金
第10図は代表的な詰みの形で頭金という手筋(よくある形のこと)です。
第10図
王様は61と62、41と42に逃げても金の利きなので取られてしまいます。
また金を取る手は歩が利いていますので、やはり取られてしまいます。
このように王を詰ますためには、2枚以上の駒の協力が必要となる場合が多いのです。
2.吊るし桂
第11図は吊るし桂と呼ばれる形で、角と桂馬の協力で詰む形です。
第11図
桂馬で王手されていますが、味方の駒が邪魔をしていて王は逃げる場所がなく、桂馬を銀で取ると角の利きが通って王を取られてしまいます。
3. 三枚の駒の協力
第12図は名前はありませんが、3枚の駒の協力で詰む形です。
第12図
王様の下3箇所は飛車が効いていますし、44と64は55の銀が利いています。
45と65は56の銀が利いていますし、王が銀を取る手も下の銀で取られてしまいます。
第4章 反則・禁じ手
本章のポイント
- ニ歩
- 打ち歩詰め
- 行きところのない駒は打てない
- 連続王手の千日手
- ニ手指し
- その他の反則
将棋には代表的なものとして上記1~5の反則があります。
1. ニ歩
第13図をご覧ください。
第13図
今、後手が☖38飛と飛車で王手したところです。
結論から言うとこの形は詰みです。
先手の王は味方の駒が邪魔をして逃げる余地がないので、※合い駒するしかありません。
しかし将棋には、同じ縦の筋に二枚目の歩を打ってはいけないというルールがあり、この反則を「 ニ歩」といいます。
持ち駒に歩しかありませんので28に合い駒したいのですが、27に歩がいるので反則のため打てないのです。
二歩を打ってしまった場合は、その時点で反則負けになります。
プロの将棋でも稀に見られる反則です。
※合い駒・・・飛車、角、香車による王手に対し、その利きを遮るために味方の駒を打つこと
第14図はその例外です。
第14図
21にと金がいますが、と金は縦の筋の一枚目の歩にカウントしません。
したがってこの形では28歩と打つことができ、まだ詰みません。
2. 打ち歩詰め
第15図をご覧ください。
第15図
図は先手の手番(順番)で、☗12歩と打てば後手の王様は行くところがありません。
しかし将棋には「 打ち歩詰め」という反則があり、歩を打った瞬間に王が詰んではいけないのです。
したがって☗12歩は禁じ手(反則)となり打つことができず、他の手を指さなければいけないことになります。
ちなみに22の歩がいなければ、☗12歩と打つことができます。
☖21王と逃げる余地があるからです。
この反則にも例外があります。
第16図をご覧ください。
第16図
この形は16の歩を15に進めると王は行くところがありません。
この形を「 突き歩詰め」といい反則にはなりません。
3. 行きどころのない駒は打てない
「 行きどころのない駒は打てない」という反則があります。
第17図は81の飛車による王手がかかっています。
第17図
結論から言うとこの形は詰みです。
王の行くところは5箇所ありますが、2段目には82の飛車が利いており、また左右に動いても81の飛車に取られてしまいます。
この王手を防ぐには61に合い駒するしかありませんが、持ち駒が桂香歩なので、打っても動きようのない駒となり61に打つことができないのです。
4. 連続王手の千日手
連続王手の千日手という反則があります。
これについては千日手の項で詳しく解説します。
5. ニ手指し
将棋は交互に指し合うゲームです。
二手指しとは自分の手番のとき、一手指した後にそのことを忘れてしまい、ニ手目を指してしまうことです。
これも当然反則になります。
稀にプロの将棋でも見られます。
6. その他の反則
つい最近(2021年2月現在)、プロに実例があった反則です。
あるプロが角を動かすのに、味方の駒を飛び越えてしまったというのがありました。
「 ワープ角」と名がついて話題になったようです。
第5章 千日手
本章のポイント
1. 千日手
将棋には引き分けとなるルールもあります。
第18図は動画となっていますのでご覧ください。
第18図
この将棋のようにお互いに他に良い手がなく、同じ局面が何度も現れてしまうケースがあります。
同じ局面が4回現れてしまうと、「 千日手」というルールが適用され引き分け再試合となります。
プロの場合は前の将棋で消費した持ち時間が差し引かれ、残りの時間で先手と後手を入れ替えて再試合を行います。
2. 連続王手の千日手
このルールにも例外があります。
第19図も動画となっていますのでご覧ください。
第19図
この動画は連続王手の千日手という反則の例です。
先手は馬で王手を繰り返しています。
同じ千日手でも王手が連続する場合は、4回目の同一局面が発生した時点で王手をしていた方の負けとなります。
対策としては、4回目に到達する前に手を変える必要があります。
持ち時間が切れて秒読みとなった場合、戦術的に時間稼ぎで3回目まで王手を繰り返し、次の手で手を変えるケースがあります。
第6章 持将棋
本章のポイント
1. 持将棋(引き分け)成立の条件
第20図をご覧ください。
第20図
この図は双方の王が敵陣に入り込んでいる状態です。
敵陣に王が入り込むことを「入玉」といいます。
図の局面は事実上、相手の王を追い詰めるのは不可能な状況となっています。
このような局面になりお互いが同意した場合、「 持将棋」という引き分けのルールが適用されます。
プロなどで適用される厳密なルールでは、
- 互いに王を詰ますのが不可能
- 相手のタダで取れる駒を互いにほぼ取り切っている
- 他の駒は成り込んでいてタダで取ることはできない
- 同意が成立
上の4条件がそろったときに
王は0点
大駒(飛車や角)を5点
小駒(金、銀、桂馬、香車、歩)を1点
として点数計算し、双方が24点以上の条件を満たした場合、引き分けとなります。
引き分けの場合、千日手と同様に消費時間を差し引かれて、残り時間でやはり先後を入れ替えて再試合となります。
どちらかが足りない場合は、足りない方の負けとなります。
入玉将棋は大駒の価値が高くなり、金も歩も価値が一緒という特殊な価値体系の将棋になります。
2. 手数500手以上は引き分け
また昨今のルール改正で、手数が500手を超えたら無条件に引き分けとするルールが設けられました。
3. ゲーム上などの特殊な持将棋成立条件
ゲームや一部のアマチュア大会などで採用されている27点法などの特殊なルールがあります。
まとめ
今回は将棋のルールについて、詳細に解説してきました。
覚えるべき点を整理すると
- 将棋の目的は王を詰ますこと
- 将棋には定跡がある
- 初型の並べ方
- 駒の動かし方
- 駒の成り方と動かし方
- 駒の取り方・打ち方
- 反則とその例外
- 引き分けのルールとその例外
などの要点がありました。
この記事を辞書代わりにご利用いただき、読者の皆様が将棋のルールが分からなくてお困りになったときの、参考としていただければ幸いです。
お読みいただきありがとうこざいました。
商品のご紹介 2
「藤井聡太 強さの本質」書籍編集部編
藤井二冠の強さに迫る本書。
藤井二冠は昨年の王位戦で一見級位者が指すような平凡な受けの手を指し、今や人を上回る強さを誇るソフトからも酷評されました。
しかしソフトの読む奥行きを数億手に増やすと、彼の指した手が最善手として浮かび上がるという分析結果が出ました。
この事実は計り知れない彼の強さの一端を物語るものだと思います。
そんな藤井二冠の強さの本質が綴られた本書をお読みになって、さらに彼の強さの深淵に触れてください。
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将棋の敵の急所は我が急所とは?~相手の言い分を拒否する指し方
こんにちは! マサ公です😊
将棋には「敵の急所は我が急所」という格言があります。
その意味は、相手に打たれたらいやな場所に先着してしまえば、相手はそこに駒を打つことができないということです。
言われてみれば、将棋に限らず人間に共通のツボというものがあるように、いろいろな物事に通じる教えかもしれませんね。
今日はそんな急所の話がテーマです。
お付き合いいただければ幸いです。
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